出版社内容情報
六十代の主婦・雅美は、大谷選手が書いたマンダラチャートを真似て、マス目を埋めてみる。
もし、人生をやりなおせるならば、「女性が胸を張って生きられる世の中にしたい」。
そう記した途端、雅美はマンダラチャートに飲み込まれ、中学生に戻ってしまう……。
同じくタイムスリップした、かつての憧れの人・天ヶ瀬とともに、昭和の古くさい価値観を変えようと、奮闘する雅美だが……。
内容説明
「大谷選手と自分を比べて落ち込む主婦なんて、滑稽だよ」夫の言葉に傷つき買い物メモの裏に書いたマンダラチャート。書き終えたとたん、63歳の雅美はタイムスリップし、気がつけば中学生に戻っていた…。男尊女卑が色濃く残る昭和で令和の生きづらさを解決するため、雅美はどう生き直すのか?
著者等紹介
垣谷美雨[カキヤミウ]
2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
231
大谷選手の目標達成マンダラチャートの中心に「女性が胸を張って生きられる世の中にする」と書いた63歳の主婦がタイムスリップ。中学生から生き直すが、昭和な価値観に翻弄される。誰でも時代に流されて生きていて、主人公が遭遇する逆境を切実に感じる。男たち、もっと自由に生きようよ。女に女らしさを強要しないでよ。思慮深く聡明で努力家で、そして愚かで大胆なわくわくした大人になろうよ。という作者からのメッセージをしっかり受け取りました。2025/01/22
いつでも母さん
191
「大谷選手と比べてる訳じゃないのに、あぁ、この夫とはもう嚙み合わない。」って私の心が言っている第1章から24章まで垣谷さんの筆に乗せられ面白く一気に読んだ。多分こんなタイムスリップはないよねと思いつつ、一度きりの自分の人生・・中2の頃に戻って私も一緒に憤ったり応援したり、やり直すのだ。面白いのはタイムスリップ仲間がいたこと。その彼もまたやり直すのだ。どこに着地するのかと思ったら、まさかの、いや、やはりのワクワク感に満足の読後感。ふふ、その後の2人が気になるところだ。2024/12/11
hirokun
178
★3 今年最初の読書は、垣谷美雨さんの作品。私もビジネスマンとしての人生を終えた年金生活者であり、今一度人生を送り直すとすればどんな人生を送りたいかと考えたことはあるが、こんな生き方がしたかったと特に思いつくことはなかった。家族との時間の持ち方、妻との接し方については変えるべきことはあるが・・。作品を読んでいく中で、確かに昭和の時代は、男尊女卑の風潮が、色濃く残っていたにもかかわらず、それほど意識することなく生活してきたように思う。今後の世界が、誰にとってもより暮らしやすい時代になることを望む。2025/01/01
モルク
165
63才のパート主婦雅美は中学時代にタイムスリップ。何気なく口ずさんでいた歌の歌詞、テレビCM…が女性蔑視なのに憤るが誰も理解してくれない。3ヶ月後憧れの君天ヶ瀬も同時代からタイムスリップしてきたことを知り二人は急接近。だが連絡方法が…まわりの目を欺きながら今度はやりたいことを女だからと我慢しない。希望の大学に入っても理系女子への不理解。地方出身の四大女子学生の就職難。そうだった!思い出したよ、多くの理不尽。記憶の底からこみ上げる苦い思い出。多くは解消されたけど、残念ながら女は今でもかわいい方が得…無情!2025/04/05
しんたろー
137
人生にモヤモヤを抱える63歳の主婦・雅美が、中学生の頃にタイムスリップし、就職して働くまでを描き、昔から延々と続いている日本の女性軽視を様々な形で問題提起した内容。人生をやり直すことになった雅美は「女性が胸を張って生きられる世の中にしたい!」と願うが、一人の力では思うようにならない描写が、男として身に覚えがあるので、妻を筆頭に人生で関わった女性たちに申し訳なく思った。雅美と同い歳なだけに、苦笑したり頷いたりしながら、昔を思い出すのは楽しかった。初恋の男・天ヶ瀬の言動が気持ち好く、ユーモアもあって救われた。2025/05/03