出版社内容情報
聞いてはいけない。「本当はこわい」落語にちなんだ、どんでん返し満載の本格ミステリ。デビュー三十周年記念作品。
内容説明
その噺を聞いてはいけない。男たちを地獄へ引きずりこむ闇の落語会。
著者等紹介
愛川晶[アイカワアキラ]
1957年福島市生まれ。94年『化身』で第5回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリ、人情ミステリと幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シャコタンブルー
48
怪談落語とミステリを巧みに組み合わせた構成で最後まで面白く読み切った。目の前で噺家の落語を聞いているような臨場感でグイグイと引き込まれた。心の奥底に潜む「恐れ」が落語の進行と共に露わになっていく。秘めていた過去が隠していた犯罪が忘れていた記憶がよみがえる。魅力的な居酒屋やバーで酒を飲むシーンが印象的だ。酒席では見知らぬ男が隣に座り話かけられたら警戒しよう(笑) 熟成した酒をじっくりと味わったようなコクのある内容だった。怖い話だが最後のオチは鮮やかで思わず笑ってしまった。2024/12/02
遊々亭おさる
16
その落語会に足を運んではいけない。特に後ろ暗い過去や邪な思いを隠し持つ者は。高額なチケットを買わされた三人の男たちは、表舞台から姿を消した落語家・花山亭喜龍が語る噺に過去に自分が犯した罪の痕跡を見る。数多くの落語ミステリを上梓してきた著者は人情を小説で語る作家さんとのイメージを持っていたが、本作は同姓同名の別人が書いたのかと思うほど人の暗黒面を見せつけられる一冊。とはいえ落語の本分は笑い。緊張の緩和の緩急のサゲがクスリと笑える表題作がお気に入り。マニアでも知らない噺もあり、興味を持ったらYouTubeへ。2024/11/13
だるま
10
愛川氏、もうデビューして30年かあ。最近は落語ミステリ専門作家になってしまわれた。この30周年記念作も落語がテーマの中編集だが、タイトルで想像付く様にかなりホラーテイスト。グロテスクでもあり、ユーモアを排している所は近年に無い新しさを感じた。最終的にミステリとして完結しているのも良かった。ただ、長所はその位で、何か色々残念だった。過去の回想が随所に入り、その度に本筋がバッサリ切られるので読み難い。ホラーって普通ジワジワ来る物なのに、場面が良く変わるから「ジワ」で切れちゃう。構成に難ありと言わざるを得ない。2024/11/02
toshi
10
落語の演目の「もう半分」「後生ウナギ」「髑髏柳」をモチーフにした3作の中編集に見せかけた長編。それぞれの元ネタはホラーだったりブラックだったりで、その見立てみたいな話もホラーテイスト。面白くて一気に読んでしまったけれど構成が良くない。元ネタや登場人物の背景などを回想や会話で切れぎれに説明しながら明らかになるようになっているけれど、これが不自然でまどろっこしい。纏めて説明して後はストーリを展開していく構成にして欲しかった。いたるところ伏線が地雷のようにちりばめられていて、読んでいて振り返るところが多かった。2024/10/28
稲田紹
8
愛川先生、初読みです。30年の活動お疲れ様です。落語の物語が得意との事でよみました。面白かったですよ。時にはエロもありで。心理的な犯罪てすかね。次回作も楽しみです。2024/12/03