内容説明
ウクライナ侵攻が露わにした大国間大戦争時代の到来。中国の軍事力の近代化、北朝鮮の核・ミサイル開発。日本の安全保障環境が厳しさを増す中―私たちは、戦えるのか。抑止力を強化し、戦争を防ぐために、いま必要な軍事知識とは。
目次
第1章 なぜ軍事の知識が必要なのか
第2章 現代における「戦争」
第3章 陸上戦を分析する
第4章 海上戦を分析する
第5章 航空戦を分析する
第6章 宇宙・サイバーや新興技術と軍事
終章 日本で軍事を考えるということ
著者等紹介
高橋杉雄[タカハシスギオ]
1972年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージワシントン大学コロンビアスクール修士課程修了。1997年に防衛研究所に入所、現在、政策研究部防衛政策研究室長。国際安全保障論、現代軍事戦略論、日米関係論が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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楽
28
23年8月。タイトルは(語ることすら許そうとしない)左の人を意識しているのだろうが、世代が上の著名なジャーナリストや評論家にも向けられているのだろう。先に概要を把握するのであれば、まえがきから飛んで終章のむすび、あとがきを読んでしまってもよいだろう。第1章から第6章はややアカデミックではあるが軍事分析入門としては時々専門用語が入るのは避けられないとしても、相当平易に書こうとしていると思う。2025/02/27
kan
25
これ以上ないほど丁寧に基礎的な軍事の考え方を解説。陸海空の戦闘や補給方法から宇宙やサイバー空間まで幅広い。専門家には当然のことも、初心者な私にはありがたい説明で、戦争の見え方が変わる。DIMEは複数の書籍で出てきたが、抑止力としての軍事力に関する指摘は、近隣諸国や同盟国との関係を考えると首肯せざるを得ない。外交や経済だけで解決できるものではない。個人的に、防衛や軍事に関する議論になんとなく忌避感があったが、一国民として正しい理解が必須だと痛感した。高橋杉雄さんは筑附出身だと初めて知ったが、とても納得。2024/03/03
鯖
23
近現代の戦争の概説し、陸海空、宇宙サイバー戦争のポイントを抑え、「日本で軍事を語るということ」はどういうことかを論じた本。「自分たちが戦争を忘れても、戦争は自分たちを忘れてはくれない」「戦争や軍事は邪悪であるから、考えないし、関わらないという態度ではもはや平和を続けられない時代になってしまった」「民主主義国家である以上、自衛隊が戦争を抑止するために適切に整備され、運用されているか、見守り、別の意見があれば提示すること、それが納税者としての国民の権利であり、責任であり、義務でもあるのである」2023/09/30
seki
16
長く軍事というものをタブー視してきた日本。ロシアウクライナ戦争や周辺国の軍事的脅威が高まる中、本書は軍事を冷静な目で学ぼうと呼びかける。全般的には、基本的なところから書かれ、クラウゼヴィッツの戦争論の超簡易版的な感じといったところ。もう国家間の戦争はないと思っていたところ、ロシアウクライナ戦争が勃発した。あらためて平和のための軍事というものを考えるのに最適な一冊。2023/12/10
owlsoul
14
軍事力とは必ずしも「戦争をするための能力」ではない。国際社会において軍事力のほとんどは破壊ではなく抑止のために存在している。経済、外交、そして軍事。これらの「道具」を駆使しながら、我々は利害渦巻くこのグローバル社会を生き抜かなければならない。平時の軍隊は官僚組織や一般企業と大差なく、予算や人事などによってその存在が左右される。実際、軍事力は使うよりも「つくる」期間のほうが長く、そして重要なのだ。本当に危険な軍隊とは、政治的目的を失い、自己存続のため経済と結びついたり、破壊そのものを目的としたりする存在だ2024/03/20