出版社内容情報
有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらには――。
最後の難敵との死闘を終えた宮本武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではないな。ただのチャンバラにすぎん……。
直木賞作家の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との名勝負! 「剣聖」とも称される二刀流の達人が、激闘の果てに辿り着いた境地とは?
内容説明
60戦以上無敗、まさに無敵の剣士。有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらには―。難敵との数々の死闘をくぐり抜けた武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではない。ただのチャンバラにすぎん…。東西の歴史に材を取り、『ナポレオン』で司馬遼太郎賞を受賞した名手の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との名勝負!「剣聖」とも称される達人が、戦いの果てに辿り着いた境地とは?
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を、2014年『小説フランス革命』(全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、20年『ナポレオン』(全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
194
佐藤 賢一、三作目です。どこまで史実で創作なのかは判りませんが、元祖二刀流「剣聖」宮本武蔵を人間味溢れる感じで描いており、楽しめました。宮本武蔵が主人公の小説は初読のため、何時か吉川英治版「宮本武蔵 (全8巻)」を読んでみたいと思います。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2023/05/005656.html2023/06/13
パトラッシュ
121
日本人の一般常識化していた吉川英治流の武蔵像を退け、戦国に乗り遅れた剣豪があがきながら生き抜く有様を集中して描く。下手な武士道に囚われず、平然と女を抱き、冷静に敵を分析して勝ちをとりに行く姿は、求道者的な面は皆無の剣術バカでしかない。ひたすら打ち合うチャンバラにこそ喜びを見い出す武蔵に対し、戦のない世に吉岡一門や細川家から父の新免無二すら政治としての剣術へ移ろうとするため、苦い思いを噛みしめながら正面突破するしかない。その果てに佐々木小次郎の息子と真剣で立ち会う最後で、暗い洞窟に清冽な光が満ちてくるのだ。2023/06/27
シャコタンブルー
58
生涯六〇余戦無敗の宮本武蔵。その壮絶な戦いを武蔵の視点から描いているのが興味深い。ここに出てくる武蔵は決して剣聖ではない。相手の技量に打ちのめされ、剛腕に慄き、策に嵌る。咄嗟の機転、閃き、運も味方するなど、いつも紙一重の差での勝利ばかりだ。特に吉岡一門との対決は圧巻だった。一人対百人の無謀な戦い。ここでの武蔵の息の乱れ、疲労、焦りが唸るように伝わる凄まじい迫力だった。そして佐々木小次郎よりも宍戸又兵衛との戦いの方が大苦戦していたように思えた。人として弱い部分を併せ持つ武蔵もまた魅力的であった。2023/06/20
rosetta
37
★★★☆☆この表紙は宮本武蔵と佐々木小太郎?惜しい!!実に惜しい!!アクションが苦手な佐藤賢一がチャンバラをどう描くかと心配していたが杞憂だった。十番勝負を通じて(そのうち一番は養父新免無二の、もう一番は戦場での侍大将同士のもの)浮かび上がる武蔵の内面。ただし残念なのが七章の吉岡一門との対決。百人を切る様を一人一人百回繰り返されて、佐藤賢一最悪の失敗作『ファイト』を思わせる憎しみすら抱かせるほどの退屈さ!本を投げ捨てて踏みつけてやろうかと思った。この章がなければ★4でも良かったのに、本当に残念。2023/09/07
イトノコ
35
齢60となり、己の兵法の集大成として「五輪の書」の残さんとする宮本武蔵。かつて自分が体験した勝負を思い起こすに、始まりは父・新免無二と吉岡憲法の御前試合だった。/佐藤賢一さん、これまでも「スパルタクス」や「ガスコン」でバトル描写はあったが、今作は1冊まるごとバトルバトルのチャンバラ活劇小説。己の技を「たかがチャンバラ」と蔑み、立身出世や惚れた女のためと理由をつけながらも、結局は決闘そのものに惹かれてしまう剣客の業…ってあなたサイヤ人かい(笑。木下さんの「敵の名は、宮本武蔵」も読み直そうかな。2023/06/30