出版社内容情報
鎌倉にジャズの灯をともしたピアニスト・松谷穣。彼は由比ヶ浜の小さな米軍クラブ「リビエラ」を振り出しにピアニスト、歌手として戦後のジャズ界を渡り歩く。藝大時代の友人・藤山一郎の伴奏をつとめ、後の米国アカデミー賞女優・ナンシー梅木を見出すなど、周囲にはいつもきら星の才能があった。やがて50代の転機を迎え、黎明期の歌謡界へ。キャンディーズ、山口百恵、堺正章、太田裕美らスターの卵たちは穣に歌のレッスンを受ける。優しすぎる人柄ゆえか裏方を愛したからか、活躍ぶりを知られてこなかった松谷穣の人生に光をあて、ジャズからポップスへと続く戦後音楽シーンの深層に迫る。
内容説明
藤山一郎は彼の伴奏で歌った。キャンディーズ、山口百恵は彼のレッスンを受けた。ナンシー梅木、沢たまき、上野尊子は彼が育てた。鎌倉が生んだ伝説のピアニスト松谷穣の人生。
目次
序章 鎌倉にジャズの灯がともった日(由比ヶ浜ビーチハウス;丹下キヨ子も渡辺美佐も―リビエラを賑わす華やかな顔ぶれ)
第1章 「カチューシャの唄」と鎌倉社交界(身の回りにはいつも歌があった;初恋は『宵待草』を歌う少女 ほか)
第2章 藤山一郎を救った友情(藝大の天才に出会う;淡谷のり子の朝鮮ツアー クラシックと軽音楽、二足のわらじ ほか)
第3章 空前のジャズブームは進駐軍クラブから(敗戦―『港が見える丘』をレコーディング;アメリカンドリームは進駐軍クラブに ほか)
第4章 転機は突然に「ナベプロ」教室でスター育成(ジャズからポップスへ―悩みの先に光;キャンディーズからの贈り物―ミキはド、スーはミ、ランはソ ほか)
著者等紹介
筒井之隆[ツツイユキタカ]
1944年大阪府生まれ。16歳からジャズを聴き、リスナー歴60年。ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスを神とする王道派。学生時代、「Jazz批評」創刊号に平岡正明、油井正一、植草甚一と並んで「ジャズ至上主義者の自己愛的ジャズ論」なる青臭い評論を掲げるが、あまりの恥ずかしさに、以後、断筆する。同志社大学文学部英文科卒、読売新聞大阪本社入社、1985年日清食品株式会社入社、宣伝部長、マーケティング部長、常務取締役を歴任。2006~09年立命館大学経営学部客員教授。2011~21年カップヌードルミュージアム横浜館長。現在、ジャズ・ミュージアムちぐさ館長。新人コンペティション「ちぐさ賞」創設時から実行委員として新人発掘に努める。座右の銘は「ジャズは道連れ酔わな酒」。英訳するとThe Days of Wine and Roses!!(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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