出版社内容情報
遠田 潤子[トオダジュンコ]
著・文・その他
内容説明
“絶望”から、目を背けるな。バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が壊れはじめた…。
著者等紹介
遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
314
遠田 潤子は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、毒親の連鎖、ポイズン満載令和日本狂気のギリシア悲劇でした。遠田 潤子、恐るべし、本年のBEST20候補です。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/09/005568.html2022/10/05
パトラッシュ
252
遺伝や生育環境により暴力的偏執的性格が育まれるとの考えを、著者は支持しているのか。最低な男の子供を産んでしまった母は、奴隷のような生活の中で娘を虐待することで何とか均衡を保つ。母から逃れて結婚した娘は、すでに母の呪いが完了し性的不感症を異常とは感じられぬ女になっていた。そんな妻に失望した夫は浮気に走り、息子と娘も親たちの異常さに人生を侵蝕されていく。外面は立派だが心の壊れた大人が子の心まで壊そうとする姿は、美しいがトゲの鋭い冬バラが絡みつき苦しめる精神の殺人そのものだ。心を殺すのは命を奪うより残酷で怖い。2022/10/03
いつでも母さん
197
遠田さんが描く近親相姦の物語だと想像していた。負けないくらい気持ち悪い(褒めてます)母という女が怖ろしい。母を例える言葉は数多あるけれど、母と書いて雁字搦めと読んだ。英樹の母・恭子もその恭子の母も、そして美沙の母も・・いや、男もだ。登場人物みんなみんなおかしい。死してなお縛り付ける。そう、これは遠田さんの世界。だが、どこかにほんの少しだけ既視感は無かったか?夫との会話、嫁姑問題、嫁ぎ先との格差、再婚した自分の母‥いや~な気持ちだけが残る遠田さんに天晴れを。再読は無理。2022/10/02
fwhd8325
180
この先どうなるんだろうと、ハラハラしながら読んでいましたが、終盤は息切れしたように感じます。しかし、このラストに隠されている連鎖を感じさせるところが遠田作品らしいところなのでしょう。怖いけれど、似たような世界を知っているだけに、ゾクッとする感覚は思い出したくなかった。2023/02/02
まちゃ
178
新進気鋭の建築家・青川英樹。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母・恭子、仕事人間の父・誠一、母に反発して自由に生きる妹・玲子。英樹の妻・美紗が「男の子」を身籠ったことを発端に狂いはじめる母。家族の誰にも本心を見せない母・恭子の言動が不穏で、気持ちワルと思いながら読み進めました。明らかになっていく母を狂わせた祖母の呪縛。読み応えありました。2022/11/27
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