出版社内容情報
山野辺 太郎[ヤマノベタロウ]
著・文・その他
内容説明
仕事で空を飛んで、この島にやってきた「僕」に人生2度目の決行のときが近づく。無人のはずの北硫黄島に住む人々、戦争の記憶、看守と囚人、6色の風船…人はなぜ飛ぼうとするのかそして飛ぼうとしないのか。書き下ろし「孤島をめぐる本と旅」を収録。
著者等紹介
山野辺太郎[ヤマノベタロウ]
1975年、福島県生まれ。宮城県育ち。東京大学文学部独文科卒業、同大学院修士課程修了。2018年、「いつか深い穴に落ちるまで」で第55回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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万葉語り
48
私のアイコンのアオウミガメは小笠原で撮影したもので、おがさわら丸で行ったあの景色を思い出しながら読めた。現状維持か長いものに巻かれて進歩するか。そんな選択が許される状況はあまりないだろうが、特殊な状況下で生み出された小さなユートピア。孤島の飛来人をも吸収し、ただ新しい希望を生みだしたことも事実。最後の手記も面白く読めた。2022-1352022/12/18
たま
15
今まで読んだことのないような展開。風船で空を??なんて思ってる間にキタイ王国が舞台になる。実際に昔報じられた風船おじさんをきっかけに書かれたお話しとのこと。ひとつの報道からこんなストーリーが生まれるなんてスゴい。ラストもとても良かった。人も海亀もちっぽけで逞しくて巡り巡ってるんだなぁ…「十七歳の硫黄島」も読んでみたい。2022/11/12
フランソワーズ
11
採算性の薄い開発部に属する吉田君が、来たるべく将来に向けて「風船飛行」の実験に飛び立つ。その後に続く物語は、半独立している南海の孤島での生活。そこに馴染み、妻子まで持つ。でもそもそも僕は、なぜ飛んだのか...。あまりわたしが読んできたタイプの小説ではなかったため、新鮮。上記したことだけでなく、そこに太平洋戦争のことまで出てくる、ファンタジーという枠組みでは収まらない小説。面白かったです。2025/02/11
manabukimoto
9
横浜の自動車会社、フランス資本に買収されようとするその夜、新たなる移動手段の実験を敢行する企業戦士たち。 という前振りから繰り広げられるのは「風船で空を飛び、横浜から父島まで行こうとした一会社員が、謎の島に飛着し、その島の歴史に触れる」話。 「茫然として無意味にも思える人生の暗闇に、意味の光を照らしてくれるもの」p68 は何なのかを考えさせてくれる。 荒唐無稽な勤め人コメディーからの戦争の翻弄された離島の人々の歴史へ。 物語の推進力と、精緻な文章による引き摺り込み力に圧倒される。 面白かった!2022/12/04
とびを
8
ラランドのニシダさんがおすすめしたので、 こういうのもいいね。2024/10/09