出版社内容情報
清水 晴木[シミズハルキ]
著・文・その他
内容説明
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約三十年に亘って、紡がれる出会いと別れ、そして奇跡と再生の物語―。愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない親子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと、寄り添う書道講師。映画好きの同級生に恋した女子中学生の一大決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係・椿屋誠。無機質に見えた彼の心と表情も、人々の出会いと別れに触れ、やがて…。
著者等紹介
清水晴木[シミズハルキ]
千葉県出身。2011年、函館イルミナシオン映画祭第15回シナリオ大賞で最終候補作に残る。15年、『海の見える花屋フルールの事件記~秋山瑠璃は恋をしない~』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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machi☺︎︎゛
96
海辺の町に住む人たちの連作短編みたいな感じ。タイトル,表紙、そのままの内容だった。人と人とのつながりや愛し愛され方、家族を思う気持ちなどが伝わり温かい気持ちになった。家族3人でこの町に移住してきて食堂を始め自分たちが年をとってもこのまま続くと思われた将来が突然消えた。そこから自分自身の頑張りや周りの人達の助けで優しさの輪が広がっていく。にしても春風亭のアジフライが美味しそうだった。2023/11/08
sayuri
67
読みながら卒業ソングの定番となった『旅立ちの日に』のメロディーが脳内に流れていた。物語は千葉県富津市金谷を舞台に30年間に渡る其々の出会いと別れが綴られる。バレリーナになる夢を持ちながら志半ばで故郷に戻った女性と偶然出会った書道の先生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに再会した男性。初々しさ漂う中学生男女の恋。卒業式を間近に控え親友となった男子高校生。年齢も性別も様々でシチュエーションは違えども、切なさの中に光が感じられる。別れだと思うと寂しさが募るが、別れは旅立ち。そう思うだけで心が穏やかに凪いでいく。2022/10/14
ぶんこ
51
妻の念願だった定食屋を開いて1年。その妻が交通事故死。妻の連れ子の大輔5歳と2人、取り残された桜木が、大輔と妻の思いを知って意欲を取り戻すところから始まった物語。金谷港フェリーターミナル内の定食屋と金谷の人々。町の人に「サクラさん」と呼ばれている、金谷に桜を植え続ける人の『花火のような桜』の話に感動しました。また大輔が高校卒業間際に、後に親友となる町田君と仲良くなる過程も爽やかで好き。定食屋の桜木さんが、椿屋さんが金谷を去ると勘違いをして盛大なお別れをするのが愉快でもあり、金谷の人々の人情にほっこり。2022/10/27
よっち
41
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約30年に亘って紡がれる出会いと別れ、再生する物語を描く連作短編集。愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない父子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと寄り添う書道の先生。映画好きの同級生に恋した女子中学生の決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係、成長する大輔を絡めながら描かれる物語はとても優しくて、時を経て再び巡り合った家族の結末がなかなか良かったです。2022/09/28
tan
35
晴木さんははじめましての作家さんでしたが立て続けに3冊も読んでしまいました。作風は森沢明夫さんや荻原浩さんに似てて、読み終える頃には一本の映画を見たような充実感があり心がほっこりとしました。登場人物が繋がっていて、何よりも大輔の成長が嬉しかったです。人生には出会いと別れがつきものですが、別れを「旅立ち」と表現することによって永遠の別れではなく、また帰ってくる、また会えるという期待もあり素敵だと思いました。2022/09/29