出版社内容情報
農民から江戸随一の材木商へ成り上がり、江戸中の人々に愛されながらも一代にして店を閉じた天才の生涯とは?
時は元禄。文吉は、幼い頃に巨大な廻船に憧れたことをきっかけに、故郷の紀州で商人を志す。だが許嫁の死をきっかけに、彼は「ひとつの悔いも残さず生きる」ため、身を立てんと江戸を目指す――。蜜柑の商いで故郷を飢饉から救い、莫大な富を得ながらも、一代で店を閉じた謎多き人物、紀伊國屋文左衛門。天才商人の生き様に迫る痛快作。
内容説明
時は元禄。紀州の農民の子・文吉は、巨大な廻船に憧れたことをきっかけに商人を志す。許嫁の死をきっかけに、彼は「ひとつの悔いも残さず生きる」ため、身を立てんと江戸で材木商を目指す―。蜜柑の商いで故郷を救い、莫大な富を得ながらも、一代で店を閉じた謎多き人物、紀伊國屋文左衛門。天才商人の生き様に迫る痛快作!
著者等紹介
吉川永青[ヨシカワナガハル]
1968年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。2010年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。12年『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。15年『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。16年『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
150
一冊丸ごと人間・紀伊國屋文左衛門。ドラマや小説で何となくイメージがあって・・だが、これはこれで面白く読んだ。時代小説に馴染みのない方にも読み易いと思う。どこまでが事実かは分からないが、こんな男が居たという事。一代限りと言うのが潔い。幸せな生涯だったよね。2022/06/11
trazom
92
紀伊國屋文左衛門の代表的なエピソードが巧みに配された小説。紀州から江戸にミカンを運送した利益で材木商を開業。寛永寺根本中堂の造営で巨利。側用人・柳沢吉保や勘定奉行・荻原重秀への接待。吉原での奈良屋茂左衛門との豪遊競争。十文銭の鋳造で全財産を失った後の質素な晩年…。吉保から白石そして吉宗と政治体制の激変に翻弄されるが、そういう歴史的背景というより、善性の商人としての紀文の生き様を味わう小説なんだろう。史実か否かは別にして、奉公人を大切にする主人公の姿は、労働者を使い捨てる現代の経営者へのアイロニーでもある。2022/08/18
ポチ
48
紀伊國屋文左衛門といえば”蜜柑"が思い浮かぶが、どんな人なのか知りませんでした。生き様が素晴らしい人だったのですね。2022/06/07
アイシャ
39
名前はよく聞くのに良く知らない人物。連想するのは、豪商、紀州、みかん。実は深川の材木商だったのね。工夫と度胸、人の縁を大切にして商売で成功して行く様子がわかる。でもこの本では最後は貧しく亡くなっている。それは夢がないな。当時は火事が頻繁に起こり、一夜にして財産を失くしたり、幕府の政策によって商売の差しさわりを受けたり、安定した成功というものは難しかったのかも。なかば伝説の人物らしいので、この本だけで分かったつもりになってはいけないのだろう。 2022/08/08
ren5000
37
紀伊國屋文左衛門が江戸の豪商とは知ったけど晩年がこういうことになっていたとは知らなかった。吉原での豪遊や柳沢吉保などへの賄賂などあまりいい話は聞かないけどこの本ではすごく高潔な人に描かれている。伝説や謎の多い人物なのでもしかしたらこういう人物だったのかもしれない。これが歴史小説のいいとこだし面白かったです。吉川さんの描く人物は悪人と言われてる人もすごく魅力的だなぁ。2022/10/31