身もこがれつつ―小倉山の百人一首

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  • サイズ 46判/ページ数 432p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120054471
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

作家・椹野道流さん、おすすめ


「歌で世を識り、歌で戦い、歌で愛を編む。
 雅な男たちの熱き血潮!」




平安時代の最高権力者・藤原道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、歌壇ではそれなりの実力を発揮しているものの、公家の出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、病由来の難聴を克服し、侍従時代の同僚で親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇でめきめきと頭角を現す。鎌倉幕府に押され気味の朝廷の権威回復を狙う後鳥羽上皇は、そんな定家に、三代将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため「敷島の道(和歌)」を指南せよと命ずる。後鳥羽の野心は肥大し、ついには倒幕の兵を挙げんとするが……。


知らぬ人のいない「小倉百人一首」には、なぜあの100首が選ばれたのか? 同じく藤原定家選の「百人秀歌」より1首少なく3首だけ異なる理由とは?――「承久の乱」前後の史実をきらびやかに描きながら、その謎を解き明かす。




【目次】


一の章 還御の噂


二の章 いとしの友よ


三の章 菊花の王


四の章 はかなき鎌倉将軍


五の章 勅勘と大乱


六の章 嵯峨山荘の障子和歌


附記

内容説明

御堂関白・道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、難聴を克服し、親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇で頭角を現す。幕府に押され気味の朝廷権威を回復したい後鳥羽院は、そんな定家に、将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため和歌を指南せよと命ずるが…。史実をきらびやかに描きながら「百人一首」の謎を解き明かす力作長篇。

著者等紹介

周防柳[スオウヤナギ]
1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2013年『八月の青い蝶』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同書は、2015年の広島本大賞「小説部門」大賞に選ばれた。2017年刊行の『蘇我の娘の古事記』は、同年上半期の「本の雑誌」エンターテインメントベスト10第1位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

108
それにしても、作家の想像力というのは凄いと感心する。断片的に承知している歴史的事実(後鳥羽天皇の神器なき即位、藤原定家の直情径行の不器用な性格、源実朝の殺害、承久の乱、後鳥羽院の遠島と還京拒否、新勅撰和歌集、百人秀歌、百人一首)が、後鳥羽院と藤原定家と藤原家隆という三人の恋を軸にして、見事に紡がれる。「百人秀歌」と「百人一首」の相違の謎解きに至る構成は、推理小説のような面白さでもある。史実や文学的評価(百人秀歌と百人一首はどちらが先か)からの異論もあろうが、定家の思いに心寄せた作家の想像力を満喫した。2021/09/04

さつき

89
百人一首が作られる過程を、後鳥羽院、藤原家隆、藤原定家の3人の愛憎に焦点をあて描いた作品。恋歌の極意は?との問いに「未練でございます」と答える定家の姿が忘れられません。古歌の手札を並べて伝えた恋情は秘めやかで甘美。私もカルタの札を並べてみたくなりました。2021/08/04

nico🐬波待ち中

86
雅な百人一首作成の裏側でこんなにも政治的策略が蠢いていたとは。時代は平安末期の、貴族社会から武家社会へと大きく変わる激動の頃。平家が滅び源氏が台頭、鎌倉に幕府が置かれ平安京も徐々に衰退。政の中心も京から鎌倉へ移ったことで治安も乱れ放題。このような国の混乱期に、今昔の歌人のうちから百名の秀歌を選びましょう、なんて呑気なことをやっていたことに驚いた。朝廷VS鎌倉幕府は歴史的に見ても面白かった。藤原定家が何度も唱えていた「古歌に学べ」のように古の歌も改めて詠むと奥深い。百人一首を改めて詠みたくなる物語だった。2022/02/20

真理そら

73
『逢坂の六人』でかわいすぎる「つらゆき」を描いてくれた作者が今回はこじらせすぎた「さだいえ」を描いてくれてうれしい。定家と後鳥羽上皇と藤原家隆のBLっぽい三角関係で優しい物語の雰囲気を作りながら、平家滅亡から始まった公家から武家への時代の流れの血生臭い政治情勢の中での生き残り方も見せてくれる贅沢で楽しい作品。大阪四天王寺の夕陽丘という地名の元になったと言われる家隆が「さだいえ」に別れを告げる場面もいい「われらはなにも変わらぬよ」。小倉百人一首の最後の4首を優しい気持ちで味わえる。2022/05/02

しゅてふぁん

58
定家を中心に後鳥羽院や友人の家隆、そして武家とのあれこれを描いた物語。思っていたのとは方向性は違ったけどとても良かった。和歌を中心とした話なのに雅な雰囲気は一切なかったのは、この物語の作風なのか、それとも武士が台頭し始めた時代のせいなのか(もしや後鳥羽院が破天荒だったからか!)。武家への強い反発心、王朝時代復活への執念、歌人の和歌に対する思いが詰まった一冊だった。百人一首選歌の謎解きはこんな使い方もあるのかとまた新しい発見。後鳥羽院と定家と家隆、順徳院、百人一首の最後の四人の見方が劇的に変わった。2021/09/14

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