出版社内容情報
「風といふより、音ぢやないですか」――没後50年を迎えた内田百間の残した作品と戦前・戦後の膨大な日記を、稀代の日記読みが丹念に読み込む初の評伝。「恋文」「恋日記」の時代から結婚、そして別居、学生たちとの深い交流、高利貸しとの付き合い、飛行機と船と汽車、名作誕生の経緯など、周辺の事実と照合しながら、その「わがまま」な人生を再構築する。なお、「百間」の号は出身地・岡山の百間川に由来し、当人も戦中のある時期までは「百間」を使っていたので、本書では「百間」で統一する。
序章 ロッパ日記から百間日記へ
第一章 捨て子の母、野心家の父
第二章 初恋日記
第三章 素琴先生と仲間たち
第四章 此縁談調へ難し
第五章 百間成婚、君に先んぜらる
第六章 帝国大学は出たものの
第七章 漱石先生の死
第八章 海軍機関学校とスペイン風邪
第九章 大正八年春、家計破綻す
第十章 豚小屋の法政大学
第十一章 『冥途』と隣家の殺人事件
第十二章 関東大震災と高利貸
第十三章 債鬼におわれて三千里
第十四章 芥川の死と砂利場の日々
第十五章 法政航空研の「陽気な秘密」
第十六章 百間の空想は偉なり
第十七章 法政大学の空騒ぎ
第十八章 『百鬼園随筆』と風船画伯
第十九章 二二六事件から「相剋記」へ
第二十章 事変前夜の桑原会
第二十一章 支那事変と「東京日記」
第二十二章 日本郵船の夢獅山房
第二十三章 太平洋戦争と錬金術
第二十四章 東京焼盡、滂沱の涙
第二十五章 掘立小屋からの脱出
第二十六章 サラサーテの盤に阿房列車
終章 摩阿陀会の黄昏
内容説明
怖がりで気難しくて涙もろい不世出の名文章家。すべての作品と日記を「日記読み魔」が逍遙し、その人生と昭和戦前・戦中期という時代を活写する没後50年、初の評伝。
目次
ロッパ日記から百間日記へ
捨て子の母、野心家の父
初恋日記の行方
素琴先生と仲間たち
此縁談は調へ難し
百間成婚、君に先んぜらる
帝国大学は出たものの
漱石先生の死
海軍機関学校とスペイン風邪
大正八年春、家計破綻す
豚小屋の法政大学
『冥途』と殺人事件
大震災と高利貸
債鬼に追われて三千里
芥川の死と砂利場の日々
法政航空研の「陽気な秘密」
内田百間の空想は偉なり
法政大学の空騒ぎ
『百鬼園随筆』と風船画伯
二・二六事件から「相剋記」へ
事変前夜の桑原会
支那事変と「東京日記」
日本郵船の夢獅山房
太平洋戦争と錬金術
東京焼盡、滂沱の涙
掘立小屋からの脱出
「サラサーテの盤」と「阿房列車」
摩阿陀会の黄昏
著者等紹介
山本一生[ヤマモトイッショウ]
1948年生まれ。近代史家、競馬史家。東京大学文学部国史学科卒業後、富士石油に入社し、おもに線形計画法を用いたシステム開発業務に携わる傍ら、競馬の歴史や文学、血統に関する翻訳やエッセイを発表。1997年にフリーになると近代史に転じ、恩師である伊藤隆東大名誉教授のもとで『有馬頼寧日記』の編集に加わり、その後は「日記読み」として戦間期の日記をもとに時代を読み解く試みを行っている。『恋と伯爵と大正デモクラシー―有馬頼寧日記1919』(日本経済新聞社)で第五六回日本エッセイスト・クラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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