出版社内容情報
沢口涼也はある出来事の贖罪のため、街金会社の支店長の職を辞し、5年前に保護犬施設「ワン子の園」の運営を始めた。体も心も傷ついた犬たちとボランティアのスタッフたちと過ごす毎日だ。様々な里親希望者が訪れるが、犬たちにとって最善の飼い主かどうかを見極めることも大切な仕事だ。そんなある日、恋人で動物愛護相談センターで働く華の元に、犬の虐待を知らせる一報が入るが。
内容説明
沢口涼也はある出来事の贖罪のため、街金融の支店長職を捨て、5年前に保護犬施設「ワン子の園」の運営を始めた。今では4人のボランティア仲間と心と体に傷を負った犬たちを癒やし、里親が現れるのを待つ毎日だ。しかし涼也は犬の幸せを願うあまり里親希望者の見極めに慎重で、断ることもしばしばだった。そんなある日、動物愛護相談センターで働く恋人の華へ、「犬を虐待し闇業者へ売りさばいているペットショップがある」という通報が…。心身傷ついた犬たちと様々な里親希望者…。虐待、飼育放棄、遺棄、殺処分―犬と人間との共生が抱える闇と光を描く、動物愛あふれる感動長編。
著者等紹介
新堂冬樹[シンドウフユキ]
大阪生まれ。金融会社勤務、コンサルタント業を経て、1998年「血塗られた神話」で第7回メフィスト賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
225
新堂 冬樹は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、白新堂ところにより黒新堂の保護犬施設愛情物語でした。隆盛を誇るペット業界の闇と無責任な飼い主たち、現実はかなり酷い状況になっているんでしょうね。それにしてもタイトルと内容が合致していない気がします。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/02/005395.html2021/04/19
ぶんこ
38
元街金で苛烈な取り立てを行なっていた主人公が、取り立て先で保護した犬が餓死。苛烈な体験から、何がなんでも犬優先となったのは理解できるものの、危なっかしく感じました。いくら街金時代の蓄えがあるからといって、30万円もの家賃を払いつつ、全て自費では無理があるのでは。婚約者の華さんが緩衝材になってくれればよいのですが。悪質ブリーダーをの実態を探る為に、100万円近い調査費まで払って動物虐待以外の悪事を突き止めて逮捕させるのは、読む分には痛快ですが、やっぱり無理がある。2023/06/17
ダミアン4号
35
一定数こういう身勝手な人間は存在する。犬に愛情を注げない、犬を物としか認識出来ない。振り返ると反省と後悔ばかり…寄り添ってくれた子達に、はたして充分な愛情は注げたのか?彼らの“無償の愛”に応えられたのか?保護犬施設を運営する主人公は保護した犬達に真摯で優しく…里親希望者の見極めにも慎重。以前は強面を利かせて債務回収をしていたのだが、ある事件がきっかけで保護犬活動を始めた。主人公のトラウマに若干の違和感(飼い主本人に元々の問題があったのでは?)を感じましたけど…一日も早く悪徳ブリーダーが根絶する事を願います2023/08/18
まるぷー
25
虐待や飼育放棄などで飼い主を失った犬の保護施設「ワンコの園」をボランティアで運営する沢口涼也。犬を愛する余りに里親の条件を厳しくする。動物愛護相談センターに勤める恋人の華は里親の条件に柔軟性を求められる。そんな折り、売れ残った犬を処分しているペットショップや虐待してある繁殖業者の通報がなされる。飼い主の手に渡り愛情を受け大切に育てられ犬生を全うする犬、殺処分される犬。涼也たちは殺処分ゼロを目指す。ペットブームと言われる現在の陽と陰。悲しい現実に目を瞑りたくなる。繁殖業者は節度ある繁殖販売をと思う。2021/04/21
きあら
25
保護犬施設「ワン子の園」所長の涼也を中心とした、犬の話。新堂さんの本での会話は上部だけのように感じてしまい読んでいてむず痒くなってしまうことがあるけど、白い新堂さんの場合は展開までもその傾向がある。それでも最後にやられてしまうのが白新堂小説。今回は、最後に黒い新堂さんが垣間見えて、余計にスッキリ。2021/04/07