“弱者”の帝国―ヨーロッパ拡大の実態と新世界秩序の創造

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  • サイズ 46判/ページ数 247p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120053733
  • NDC分類 230.5
  • Cコード C0031

出版社内容情報

近世ヨーロッパで起こった軍事革命は東洋に対して全般的な軍事的優位をもたらさなかった!地中海でのオスマンとの対立、東アジアでのポルトガル・イギリス・オランダ、米大陸でのスペインなどの海外進出の実態を分析し西洋の勃興をめぐる世界史の通説を覆す。




ヨーロッパ人の海洋帝国は現地政体への恭順と服従に依存していた!


海洋志向と陸地志向の相補的選択により、粗削りな共存が可能になった!


二一世紀の非西洋諸国の勃興は、過去の歴史的状況への回帰にすぎない!


ヨーロッパ中心主義と直線的な因果関係の物語を超克し
歴史学と社会科学を横断する学際的な視点から論証する

内容説明

スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダの海外進出、地中海周辺でのヨーロッパとオスマン帝国の対立の実態を分析し西洋の勃興をめぐる世界史の通説を覆す。

目次

序論 軍事革命と最初の国際システム(議論の概要;軍事革命とは何か? ほか)
第1章 イベリア半島の征服者と嘆願者たち(モデル―ヨーロッパ軍事革命の軍隊;コンキスタドール ほか)
第2章 主権会社と東洋の帝国(主権会社とは何か?;オランダ東インド会社(VOC) ほか)
第3章 アジアによるヨーロッパ侵略を文脈に位置づける(オスマン帝国の概観;軍事革命論の試金石としてのオスマン帝国 ほか)
結論 いかにしてヨーロッパ人は最終的に勝利したのか(またその後に敗北したのか)(最終的な勝利―新帝国主義の動機と手段;新帝国主義の動機 ほか)

著者等紹介

シャーマン,ジェイソン・C.[シャーマン,ジェイソンC.] [Sharman,Jason C.]
1973年生まれ。国際的な資金洗浄(マネー・ロンダリング)や政治腐敗、タックス・ヘイヴンに関するグローバル・ファイナンス規制に加えて、近世の国際関係を専門とする政治学者。ケンブリッジ大学政治・国際関係学科(POLIS)のサー・パトリック・シーヒー国際関係論教授および同学科長。米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号を取得したのち、ブルガリア・アメリカン大学、オーストラリアのシドニー大学およびグリフィス大学で教鞭を執る。授賞多数。英国学士院(ブリティッシュ・アカデミー)フェロー

矢吹啓[ヤブキヒラク]
東京大学大学院博士課程満期退学(西洋史学)。キングス・カレッジ・ロンドン戦争研究科博士課程留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MUNEKAZ

21
西洋の覇権を、近世ヨーロッパの「軍事革命」に求める見方を否定し、15~18世紀にかけては東洋の帝国に対し劣位であったとする一冊。パーカーやマクニールらが示す軍事革命による軍隊の特徴が、アジアにおけるヨーロッパ勢力に当てはまらない点や、陸の支配を重視した東の帝国に対し、海の覇権を握った西欧諸国の共存関係など刺激的な視点が多い。西洋中心史観からの脱却と、近代以降の事象を近世に当てはめようとする時代錯誤を批判する著者の言葉は力強い。それは歴史や国際関係を、単純なダーウィン主義で捉えることの戒めにもなっている。2021/01/23

Mealla0v0

10
15世紀以降の「ヨーロッパの拡大」はしばしば軍事革命や財政軍事国家の登場と結び付けられて語られて来た。つまり、高性能な武器と組織された軍隊を背景とした圧倒的な軍事力による支配権の拡大という理解だ。本書は、ヨーロッパの外でのヨーロッパ勢力は、むしろ現地勢力に対して劣勢であり服従を強いられてきたと強調される。そのヨーロッパ勢力も、国家よりも主権会社と冒険者集団であった。ただし、現地勢力が海上の確保に関心を向けず、ヨーロッパ勢力が海上の交易路確保に腐心したこと、特にそのために現地勢力との妥協をした点も強調される2024/01/30

電羊齋

9
ジェフリー・パーカーらの軍事革命論を批判し、18世紀まではヨーロッパが東洋の諸帝国に対し軍事的に優位であったわけではないと指摘する。その上でヨーロッパが勢力を拡大できた理由として、現地勢力への恭順・同盟、現地支援者の存在、並びに陸地志向の現地政体と海洋志向のヨーロッパ勢力との「粗削りな共存」を挙げる。そしてヨーロッパの事象を普遍的かつ必然的な因果関係として捉えるヨーロッパ中心主義と、西洋が圧倒的優位にあった近代の状態を近世にも当てはめることを戒める。東洋史専攻として著者の論にはうなずける点が多い。良書。2021/04/03

八八

5
規律化された軍隊、マスケット銃や火砲を揃えた西洋式の軍隊。近世ヨーロッパにおける"軍事革命"による成果は、西欧による圧倒的な優位を齎らし他の地域の支配を可能にした。と、屡々言われる。しかし、本著はその指摘を否定する。西欧がそれ以外の地域に足場を築くことが可能であったのは、現地勢力への恭順や彼らとの同盟、加えて陸の支配を重視する現地勢力と海洋に力点をおく西欧という関係にあった。このような本著の視角は、西洋中心主義に陥りがちな歴史叙述を相対化する刺激的なものである。2021/07/27

Joao do Couto

2
説得的!軍事革命とヨーロッパ世界の拡張は全く関係がない、という主張。軍事史、ヨーロッパ史、グローバルヒストリーに興味がある人に最適。 2022/01/07

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