クルスクの戦い1943―第二次世界大戦最大の会戦

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クルスクの戦い1943―第二次世界大戦最大の会戦

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  • サイズ 46判/ページ数 332p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120053610
  • NDC分類 391.2
  • Cコード C0022

出版社内容情報

一九四三年のクルスク会戦は、空前絶後の数の戦車を集めた独ソ両軍が正面から激突した戦いである。この戦いに敗北したドイツは、以後、ソ連軍に戦略的主導権を奪われ、ずるずると敗戦に至ったのである。しかしながら、戦後の独ソ両国の政治的思惑から、クルスク戦の歴史イメージは、著しく歪曲された。タイガー戦車やパンサー戦車に期待をかけたヒトラーの作戦発動延期により、ドイツは勝機を失っていった、クルスク戦のクライマックスであるプロホロフカ戦車戦で、ソ連のT-34は、正面からタイガー戦車と渡り合い、競り勝った……。


ところが、こうしたクルスク戦像は、冷戦終結後の政治情勢と重要文書の機密解除により、根底からくつがえされてしまった。従来、われわれが知らされていたクルスク戦の流れは、虚像でしかなかったことがあきらかにされたのである。


 本書の著者ローマン・テッペルは、そうした営為の先頭に立つ、新進気鋭の研究者である。

内容説明

根底からくつがえされた定説。従来人口に膾炙していたクルスク戦像は、いわば「冷戦テーゼ」であり、事実ではない。独ソいずれにおいても、虚構の戦史がまかり通るというようなことがなぜ起こったのか。ドイツ軍事史研究の最先端を走るローマン・テッペルが解明したクルスク戦の実相。

目次

1 はじめに―「クルスク会戦」か、それとも「オリョール=ビェルゴロド間の会戦」か?
2 行動の法則―一九四三年夏季会戦の準備
3 「炎の弧」―一九四三年夏のクルスク、オリョール、ハリコフをめぐる諸戦闘
4 消耗戦―一九四三年の東部戦線における夏季戦闘の結果
5 偽られた勝利―記憶をめぐる闘争

著者等紹介

テッペル,ローマン[テッペル,ローマン] [T¨oppel,Roman]
1976年、旧東独バウツェン生まれ。ドレスデン工科大学に提出した修士論文以来、クルスク戦の研究に取り組み、まとめ上げた。『クルスクの戦い1943』は、出版されるや、その先端的な内容により、高い評価を獲得し、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語に翻訳された。イギリスの『ガーディアン』の編者の一人でもある

大木毅[オオキタケシ]
1961年、東京生まれ。現代史家。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてボン大学に留学。千葉大学その他の非常勤講師、防衛省防衛研究所講師、国立昭和館運営専門委員等を経て、著述業。『独ソ戦』(岩波新書)で新書大賞2020大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Panzer Leader

50
自分のクルスク戦の知識として刷り込まれていたヒトラーのごり押しで作戦を実行したとか、ロシアはドイツ軍の攻撃を正面から受け止めて撃退したなどの定説を打ち破った最新の研究書。WWⅡ戦後の東西陣営の対立の中で両陣営の都合の良い様な神話が形作られていったのかがよく理解できる。本書では訳者の肝いりで多色刷りの戦況図が使用されていて大変にわかりやすい。その中で現在紛争中のドンパス地帯とかマリウポリの地名を目にすると複雑な心境になる。2022/05/29

MUNEKAZ

16
ドイツ人軍事史家によるクルスクの戦いの最新研究。ヒトラーの横やりで失われた勝利、独軍を圧倒するソ連軍の戦車部隊といった「神話」を再検討し、新しい「クルスクの戦い」像を示している。敗者と勝者、それぞれの思惑により、実態とは異なる物語が生まれていく様は、最近の関ヶ原合戦を巡る論争も思わせて面白い。訳者の一連の新書本を読まれた方にも、興味深いところが多いのではないかと思う。また地図が多色刷りで示されているのも大変ありがたく、この手の戦記本では標準装備にしてほしい所である。2020/12/16

八八

11
第二次世界大戦における最大の激戦であるクルスク会戦。この戦いを知らないものは居ないだろう。それ故に、会戦に参加した将兵による回想録から研究者、軍事ファンの手による様々な書籍が存在する。それだけに、多くの言説が生まれ俗説が人口に膾炙することとなった。特に参加した将兵(独ソ両陣営)による"定説"は、冷戦下の再軍備や体制の権威付けに利用された。本著では、それらの"定説"を一次史料を巧みに使いながら批判的に検証していく。クルスク会戦の実像を把握するのみならず、歴史における叙述や史料の問題をも理解できる著作である。2021/07/27

7
クルスク戦の実像を、戦時日誌など豊富な資料の再検討によって明快に描き出している。特に独ソそれぞれの当事者がいかに都合よく記録をごまかしていたか、そしてその背景にあった冷戦への言及が最後に簡潔に述べられており、それまでの論拠もあって大いに納得させられた。ロシアでは未だにソ連時代の不正確な記録をもとに「神話の再生産」が行われているというのはぞっとさせられるが、日本でも「ミッドウェーの運命の5分間」みたいなのが未だに人口に膾炙しているのと同じようなものなのかもしれない。2020/12/24

壕野一廻

6
やっと読めた。 東部戦線詳しくない自分でも知っているふわふわイメージとしてのクルスクの戦いが完全にひっくり返っていて面白い。 周到に準備された攻撃を行う限りにおいて、クルスクの頃はまだドイツ軍の方が優越していたと解釈すべきなのかな。 でも、戦略・作戦レベルで劣勢になっていたためにクルスクという局地戦の優勢をより高いレイヤーの優勢に繋げられず敗北の坂を転げ落ちていったという印象を覚えた。2021/04/29

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