出版社内容情報
物語は、V(ヴァネッサ・スプリンゴラ)14歳、G(ガブリエル・マツネフ)49歳から始まる。彼女は、出版社で働いていた母の紹介でGと知り合い、以来Gは、中学校の校門で彼女の下校を待つようになる。「声望のある大人の作家」という幻影は、彼女の判断力を奪い、彼女はGと関係を持つようになった。ただ、この時彼女は14歳であり、フランスの法律が認める性交渉の下限である15歳を下回っていた。Gは確信犯だった。彼女はGのアパルトマンに入り浸り、学校を休みがちになる。Gは彼女を、作家の集まり、映画、芝居に連れ出したが、「私たちの生活の中心はセックスだった」。
スプリンゴラはなぜいま、35年前の出来事を書くことになったのか。それは、Gへの復讐である。Gは、これまでに何度も、彼女との経験を作品に利用しており、そしてそれらの作品は、フランスの文学界で高い評価を得てきた。自分のことが描かれた作品を読むたび、彼女は傷ついてきたが、それを言い出すことができずにいた。自分は「同意」していたと、言い聞かせて。しかし、Gが自分との経験を作品に利用することをやめず、彼の名声が高まる一方であることから、ついに沈黙を破ることにした。それが本作である。
本書の余波は広がり続けており、Gの版元の一つガリマールは、警察の家宅捜査を受けた。また、未成年時に性的搾取にあったという女性たちが声を上げ始めている。
内容説明
法律が禁じている若年者との性交を探し求め、その経験を作品に利用する有名作家G。30年の沈黙を破り、その時少女だったVが断罪の筆を執る。作家や芸術家は何をしても許されるのか―。#MeToo運動にもう一つの次元を付け加えた衝撃作。
目次
1 子供
2 餌食
3 支配
4 脱却
5 痕跡
6 書くこと
著者等紹介
スプリンゴラ,ヴァネッサ[スプリンゴラ,ヴァネッサ] [Springora,Vanessa]
1972年生まれ。フランスの編集者、作家。パリ大学(ソルボンヌ)で現代文学の学位(DEA)取得。2006年よりフランスの老舗出版社ジュリアール社で編集に携わり、現在同社の編集責任者。2020年、『同意』でジャン・ジャック・ルソー賞(自伝部門)受賞
内山奈緒美[ウチヤマナオミ]
愛知県名古屋市生まれ。東京大学仏文学科卒業。同大学院修士課程修了。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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