出版社内容情報
「よろしい」
ベルンハルトはこたえた。
「ならば、戦争をはじめようじゃないか」
大ドイツ帝国と日英同盟は、互いに北米戦線を有利に進めるべく策動し、ついに第二戦線たるインド洋で激突。日本遣印艦隊と英ロイアル・ネイヴィーの前に、ドイツ東方艦隊にイタリア東洋艦隊が加わった欧州連合軍が立ちはだかり、艦隊決戦の火蓋が切って落とされた。さらに日英同盟軍は、連合軍が死守するソコトラ島への侵攻作戦を発動! インド洋に浮かぶ要衝で、熾烈な戦車戦が!!
著者最大のシリーズを合本する愛蔵版。第二巻には本篇4「作戦グスタフ発動」、本篇5「第二戦線崩壊」、本篇6「インディアン・ストライク」、本篇7「バーニング・アイランド」を収録。
内容説明
インド洋の覇権をかけ“日英同盟”“独伊連合”ついに激突!未完の大作待望の復刊。
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
1964年4月、石川県生まれ。ゲームデザイナーを経て作家となる。戦略シミュレーション小説に独自の世界を切り開き、ミリタリーSFなどでも活躍。2017年3月、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
10
原作の四冊の合本。独軍の、周到な戦略の妙と恐るべき偶然による北米の蹂躙から始まり、それを牽制すべく行われた印度洋の通称破壊戦の推移。可能ならば局外にいたかった日本帝国の参戦と、ぶつかり合う印度方面での思惑。独軍の同盟国たる伊海軍の噂に違わぬ弱さと、イタリア人らしいヒーローの姿。海を知らない独海軍戦略の限界。西インド洋のソコトラ島で激突する日独の戦車部隊。清水、加藤、森井の三中尉の物語と、最後に登場した高梨法務少佐の言葉が、この長大な物語の並々ならぬ奥深さを示しています。ここで、RSBCの始まりの終わり。2022/07/01
メロン
8
佐藤大輔の代表作2巻目。見所はインド洋ドイツ軍根拠地に対する日英の上陸作戦、ブルーアイズ。史実の上陸銭闘はひたすらに負け負け負け史実だからしょうがないが、日本が負け続けるのは悔しい。かといって他の架空戦記、紺碧の艦隊のように超日本軍が鬼畜米英をぼっこぼっこで興奮できない...しかし!佐藤大輔は緻密な状況設定で納得感のいく勝ちを味合わせてくれる。203高地を観たような苦しいけど日本が勝つそれを体験させてくれる稀有な作家だ。悲しいかな本作も漏れずに未完のまま著者は逝去している。まぁ存命でも続き書いたかというと2024/07/27
八八
5
アメリカは東海岸および五大湖周辺をドイツの侵攻によって占領された。日英枢軸軍はカナダにおいて防御戦を展開し、吉田茂を中心にアメリカとの同盟交渉を水面下で推進する。一方、インド洋においてドイツはイタリア海軍との協同作戦を展開することを画策し、対する日英枢軸軍もインド洋において大規模な攻勢作戦を展開することによってインド洋戦域を安定させ北米大陸へと戦力を差し向けることを目指す。双方の目指す戦略がインド洋において交差する時、予期せぬ決戦が生起するのだった、、、。2020/11/22
in medio tutissimus ibis.
2
陳腐な言い方をすれば戦場の霧。登場人物の誰もがどうしようもない不確実性のヴェールの下で足掻いている。彼らは「神々ではなく」それ故に、不完全な人間として非常時にどれだけの事を成せるかを、それだけをこの小説は問うている様だ。だからこそ、分厚さに臆して他の本の合間につまむような不真面目な読み方にも耐えられるのかもしれない。正直キャラの名前を一つも覚えてない。私もまた忘却のヴェールの下で足掻いている。陳腐な言い方をすれば雰囲気で読んでいる。不透明で見に回ってもジリ貧という状況下で肚を括る、という雰囲気に飢えている2024/06/11
天喰郎
2
どの戦場だとしても私は血塊と糞袋をぶちまけて死ぬんだろうなと想像しながら読んだ。平和って大事。戦おう。2021/02/22