だまされ屋さん

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 46判/ページ数 397p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120053481
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

70歳の夏川秋代は、夫を亡くして公団住宅にひとり暮らし。ある日、「(長女の巴と)家族になろうとしている」と語る若い男が突然やって来た。戸惑う秋代をよそに家に上がり込む謎めいた男。彼は本当に娘の婚約者なのか、それとも新手の詐欺なのか――。


 秋代には実は、長女だけでなく、二人の息子にも男の来訪について相談できない理由があった。アメリカで未婚のまま娘を産んだ長女、男らしさの抑圧に悩み在日韓国人のパートナーとうまくいかない長男、借金を重ねて妻子に出て行かれた次男……こじれた家族の関係は修復できるのか。
 現代文学の最前線を走る作家が、家族のあり方や人々のつながり方を問う渾身の長編。

内容説明

謎の訪問者は詐欺師か、歪んだ一家に福音をもたらす救世主か?2020年の閉塞感を言葉の力で切り拓く預言的作家の新たな代表作!

著者等紹介

星野智幸[ホシノトモユキ]
1965年(昭和40)、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、新聞記者を経て、作家活動を始める。97年『最後の吐息』で文藝賞を受賞。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、03年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、11年『俺俺』で大江健三郎賞、15年『夜は終わらない』で読売文学賞、18年『〓』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

255
星野 智幸は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、振り込め詐欺的なお話かと思いきや、濃い家族の群像劇、再構築の物語でした。どこかにオチがあると考えながら読んでいたのですが、最後はあっさり終わりました。著者はもっと若いと思っていましたが、実は同い年で親近感が湧きました。2021/02/12

キク

64
とんでもない小説だった。共依存、ネット依存、性自認、国際結婚、父の不在、重い母など多くの問題を抱えた家族が発展的解体を経験して、常識という洗脳から自由になっていく。これだけ詰め込むと普通はバタバタしそうだけど、さすがに星野は只者じゃない。小説としてしっかりまとめてくる。作中に「正しいからってデカい顔してんじゃないよ。その正しさの鎧が私を傷つけるんだよ」というセリフがあってギクリとした。多分僕も、正しいからってドヤ顔してる時があると思う。人との向き合い方を深く考えさせられるた。今年のベストに入ってくる傑作。2022/05/08

おたま

55
母秋代とその子優志(やさし)、春好、巴。優志の妻・梨花、春好の妻・月美、巴の子・沙良が絡まってくる。母から子への精神的ハラスメント、夫婦間のいざこざ、ゲーム依存、レイシズム、いじめ等々現代の家族がもっている様々な問題が起こってくる。秋代の元には未彩人(みさと)という若者が突然訪れ、家の中にまで上がり込んでくる。また巴の住んでいるアパートの住民夕海が、ルームシェアをするために転がり込んでくる。未彩人と夕海の狙いは何なのか?そして巴の家に家族が一人二人と集まり始め、夕海も参加し、長い対話が開始される。2022/12/16

りんご

45
展開に目眩くらくら。集中して読まないと振り落とされてしまいます。夏川柊一、秋代夫妻。その子優史、春好、巴。そしてその配偶者。それぞれが問題を持ち、各関係にも問題がある。明らかな暴力とか明らかなモラハラではない。が、家族でいるのは耐えられない、そういう問題。これに向き合うお話でした。【例:母に対して腹が立つ、攻撃する、攻撃した自分の気持ちを見つめる、気持ちの背景に気付き自己嫌悪する】的な、深く深く潜っていき、問題はどこからこじれていたのか考えます。良い関係を構築するためには一度崩壊させるのです。再読案件。2022/06/27

Natsuko

38
初星野さん。別の作家さんのどなたかと勘違いしていたらしく、ほっこりストーリーと思っていたら、何やら怪しい雰囲気。母秋代と3人の子供とパートナー、孫・・・それぞれの事情が複雑、お金も絡み親子兄妹断絶状態。相関図を書きながら読み進める。冒頭、謎の若者が秋代宅に登場し、素性が分からないのに寂しさが勝り交流していく場面から、先が気になり読ませる展開。事情が明るみになり、大団円気味だが、ざわざわした読後感。それぞれの事情が重すぎ+自分自身の険悪な家族が頭にチラついたからかも💦2023/06/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16687726
  • ご注意事項