出版社内容情報
グローバリゼーション、国家間関係、統治のあり方などに関して突きつけられた深刻な問いを浮かび上がらせ、新型コロナウイルスCOVID-19による危機がもたらした5つのパラドックスを指摘する。
内容説明
世界を空前の混乱に陥れたCOVID‐19。自由は「中国モデル」に負けたのか。現代ヨーロッパを代表する知識人の緊急提言、世界12カ国で同時刊行。
目次
序 ディストピア(グレー・スワン;デジャヴュふたたび;現実問題と考えよ―不可能なことを要求せよ;未解決のものの復活)
第1部 国境(“うちにいようナショナリズム”;“うち(ホーム)”はどこか
うちで、別々の部屋で)
第2部 例外状態(独裁者にとってのCOVID‐19;不安から怒りへ;シュミットをひっくり返す)
おわりに
著者等紹介
クラステフ,イワン[クラステフ,イワン] [Krastev,Ivan]
1965年生まれ。ブルガリア出身。ソフィア大学卒業。ヨーロッパとデモクラシーを研究する政治学者。ソフィアの「リベラル戦略センター」理事長、ウィーンの「人間科学研究所」常任フェロー。『ニューヨーク・タイムズ』に定期的に寄稿。TED Talksにも登場した
山田文[ヤマダフミ]
翻訳家。イギリスの大学・大学院で西洋社会政治思想を学んだのち、書籍翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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羽
23
著者はブルガリア出身の政治学者でニューヨーク・タイムズにも寄稿しているイワン・クラステフ。ヨーロッパに焦点を絞り、COVID-19後のEUについて分析している。パンデミックはEUを分裂させ、脱グローバリゼーションを加速させ、自由民主主義をゆっくりと終わらせるというが、クラステフは両義的な見方をしている。世界中の人々にとってアフターコロナは未知の世界、という一点のみ共通している。勉強不足で政治の話についていけなかったのが悔やまれる。2020/12/24
色々甚平
7
他国じゃどんな見方をしているのだろうと思って読んでみた。EUが各国国境封鎖したり輸出禁止にしたりしてEUである利点を失ってピンチというのはわかった。騒動中は目先のことで頭がいっぱいだが落ち着いた時に、各々の判断が他国にどう見られるかが今後の転換点になる。2020/09/01
Toska
4
著者は2020年3月の段階でコロナのインパクトに思いを巡らせ、同年7月に一応の答え合わせとして本書を出版している。仕事が早い。もとより明快な答えが出るようなテーマではないが、様々な思考の材料を与えてくれる。コロナ対策で民主主義と権威主義の間に本質的な差はなく、寧ろ国民から政府への信頼感が重要とのこと。成程。中国の強みはこの点にありそうだ。「うちにいようナショナリズム」という概念も興味深い。2022/10/04
クジラ
4
コロナ後の世の中の在り方について関心があって,この本を読んでみた。世界各国のコロナ対策の優劣について,それぞれの国民が他国と比較して,自国の政策を評価する世の中に移行したという。巻末に特別寄稿文が3本寄せられていて,個人的にはこれが解説の役割を果たしているように感じられて,結果として内容への理解が深まった。2021/04/05
つっきー
3
細谷さんと三浦さんの論考がついてると知って予約して買った本。ヨーロッパの知識人から見たコロナ禍についてこの時期に本で読めるのはありがたい。分断が進む側面とどうやらそうでもなさそうな側面、両方がありそうだということ。2020/08/14