出版社内容情報
昭和初年に斎藤茂吉らが選んだ「万葉百首」に加え、著者の愛する50首を取り上げ、作家ならではのまなざしで千年かわらぬ人々の心について綴るエッセイ集。初単行本化。
内容説明
人を想うこと、愛すること、別れゆくこと。千年変わらぬ人の真情。万葉の世界へいざなうエッセイ集。
目次
第1章 万葉百首―「萬葉百首繪かるた」によせて(のびやかな本音の歌;夏だより、夏の恋;召されゆく人、旅立てる人;万葉びとの憂愁;万葉の秋―恋の季節;夫婦の愛;青年たちの愛;冬から春へ;伝承のうた;東歌と水路―旅によせて)
第2章 私の好きな万葉秀歌(言霊のくすしき力;読み人知らずの歌;恋の熱情;東歌;家持の歌を中心に)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年、大阪生まれ。樟蔭女子専門学校国文科卒。63年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、88年、『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、93年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、94年、菊池寛賞、98年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。2008年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。19年6月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
63
万葉集を旅するような1冊でした。おせいさんの選ぶ歌とその想いを見ていると自分も万葉の世界に足を踏み入れているような気分になります。万葉散歩をしたので、いつか万葉集を読みたいと思いました。2020/07/15
ももすけ
25
エッセイのように万葉の歌が紹介、解説されているので、とても分かりやすく楽しめる。何度か読んだ歌でも、その人の解釈や自分自身の状況で、都度印象が変わるのは、面白い。2024/12/28
りー
18
1929年に主婦之友社が選出した「万葉百首繪かるた」が覆刻されたのをきっかけに企画された連載。戦争の気配を感じる選もあれば、のびやかな恋の歌もある。巻末には田辺聖子選の歌も取り上げられている。私は高校の教科書に載っていた「防人に行くは誰が背と問ふ人を見るが羨しさ物思ひもせず」を録ってくださっていたのが嬉しかった。大伴氏の没落とともに編まれた万葉ではあるけれど「家持は、善なる人の心を信じていた。歌の奇しき力を信じ、千年二千年の後まで読み継がれ、愛され継がれてゆくことを念じた」人々の魂のタイムカプセル。2023/10/22
aisu
8
万葉集に入っている歌は素朴でいいなと思いました。他の解説本を読んでいないので、訳や解説がいいなと思うのも、どこまで田辺聖子だからなのかとかは、はっきり言えないけれど。千数百年前の人の歌が今でも共感出来るってすごい。2021/10/21
kenitirokikuti
7
図書館にて。2020年6月刊行。田辺が亡くなったのは2019年。新しいエッセイではなく、主婦の友社が1980年代に創刊した雑誌『Dame』に連載されたもの。社屋改築の際、主婦の友社が昭和初年に作った万葉百首絵かるたの未加工の刷り物がが発見されて記念復刻、雑誌の方では田辺にその選ばれた歌をエッセイした(未収録だったそうな)。田辺の学生時代は昭和の十年代なので、日本精神的な万葉歌ばかりだった、という。さすがにこの絵かるたは愛国百人一首みたいもんではない。2021/07/03
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