内容説明
今日もスタジオに彼らは集う。社交ダンスを定年後のボランティア活動と位置づける田中。モテたい一心の商社マン川端。苦労人だが踊りは熱い工場経営者の大塚。まるきり初心者の面々を指導する講師の米山は、不思議なくらい無気力で―。でこぼこ道の人生を、歩いてきたから夢中になれる。中年世代ならではの、出会いと躍動の物語!
著者等紹介
桂望実[カツラノゾミ]
1965年、東京都生まれ。大妻女子大学卒業。会社員、フリーライターを経て、2003年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
123
主人公が自分の年代に近いので、共感する部分と、身につまされる感覚を覚えた。サラリーマン生活も終わりを迎えようとしているシルバー世代が社交ダンスにのめり込んでいく。映画「Shall we ダンス?」にも通ずるものもあった。仕事じゃなくても輝ける場所を求めて踊る者、女性にモテたい一心のための者もいる。でもそんなことは関係ない。今までいろんな人生を経験してきて、新たに花を咲かせたい。とても良く分かります。自分は読書他の趣味を持っているが、人生これからが大切なのだ。こんな気持ちにさせてくれる小説だった。2019/10/01
buchipanda3
117
人生の黄昏時をちょっと気になりだしたおっさんたちの中年青春小説。彼らは体力が落ちてヘロヘロだけど心はまだまだ若かった。そんな姿に思わず感化されてしまいそう。ふとしたきっかけで、それまで縁の無かった社交ダンスを始めた彼ら。それなりに人生を経てきただけに、先生も含めて仕事や家族への不安や後悔などモヤモヤ感を抱える中、同じような境遇の人たちとチームとして踊っていることが励みになっていた。新たに輝ける場所を見つけて心を上向きへステップした姿が羨ましい。黄昏が見えてきても下向きである必要なんてないのだなあと。2019/12/16
ゆみねこ
113
定年後の運動不足解消がきっかけの田中・モテたい一心の商社マンの川端・町工場の経営者の大塚、社交ダンスを始めたきっかけはそれぞれ違っている。初心者の彼らを指導する講師の米山は無気力でなげやり。そんな彼らが目指したフォーメーションダンス、中年男性たちの熱い戦い。面白かったです。2020/04/27
sayuri
113
社交ダンスに出逢い、新たな目標を持つ中年世代の物語。「ウォーターボーイズ」の中年版をイメージしていたけれど、良い意味で予想を裏切られ、この世代だからこそ伝わって来るものがあった。運動不足解消やモテたい一心の不純な動機で入会したおじさん達が会社や他では得る事が出来なかった仲間や人生の目的を見つけ、どんどん生き生きして行く様がリアルだ。社交ダンスの記述より、それぞれの今までの人生やこれからの生き方がメインで描かれていてジンワリ来る場面もある。何歳になろうが、新しい物や人との出逢いで人生はいくらでも輝けるんだ。2019/10/02
紫綺
106
人生半ばの男たちがアツくのめり込むは、おじさん達だけの社交ダンス。その初心者たちを指導するのは、人生のそしてダンスのパートナーである妻を亡くし放心のダンス講師米山。ダンスだけでなく、各々の人生を躍動的に描く秀作!2020/02/15