出版社内容情報
レイテ海戦の大戦果はソ連軍の北海道侵攻を招き、日本は南北分断国家となった――。激動の時代を戦艦〈大和〉そして超大型護衛艦〈やまと〉として戦った一隻の艦と、歴史に翻弄されながらも未来へと歩み続ける軍人一族・藤堂家を軸に、日本の戦争と戦後を描く戦記巨篇。急逝した著者の初期代表作三巻を合本し函入愛蔵版として刊行。初期短篇「晴れた日はイーグルにのって」、押井守による追悼インタビューを併録する。
内容説明
戦艦“大和”は超大型護衛艦“やまと”へ分断国家となった日本の運命は!?
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
1964年4月、石川県生まれ。ゲームデザイナーを経て作家となる。戦略シミュレーション小説に独自の世界を切り開き、ミリタリーSFなどでも活躍。著書多数、コミック原作もある。2017年3月、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
12
「征途」とは仮想戦記という名前ができる前にその第一作となったもの、と言う書評があったが、そんな事はないよ。しかし可能な限り軍事的政治的人間的リアリティを追求した作品としては、これが嚆矢となったと思う。藤堂家の人々を軸に、レイテ沖海戦から世紀末までの新たな日本を描く歴史改変物語。佐藤大輔は日本と日本人をこう考え、悲惨な歴史を明るい未来へと導こうとしてこんな物語を作ったのか、それともただのネタだらけの理屈っぽい戦記を書きたかったのか。戦闘時の命中率が高すぎるなど難点はいくつかあるけど、また読めてよかったな。2022/11/07
こぼこぼ
6
本文の内容に関する感想はさておき,良い点:装丁。大和のワンポイントが可愛い。「晴れた日はイーグルにのって」や文庫版解説,著者インタビュー等がまとめて読める事。悪い点:新書,文庫版に掲載されていた図版が全部省かれている事。校正ミスが多い。新書版のカバー絵(高荷義之)が口絵として欲しかった。「愛蔵版」と云うにはちょっと残念な出来だが,復刊してくれるだけでも有難い,と言うべきなのか。この調子で「遙かなる星」も復刊してくれませんかねぇ(鶴田謙二のイラスト込みで)。2017/10/07
井上晃宏
4
内容については他人がすでに論評しているので、愛蔵版の外形的な話をしたい。新書版の表紙、イラスト、編成表などが欠落しており、愛蔵版のプレミア感がない。そのかわり、外伝にあたる短編や押井守や本人のインタビューが収録されている。2018/11/24
Write Only Memory
4
歴史のIFから日本が分断国家となり、現実と全く違う道を歩んでいく仮想戦記。戦後メイン。 大局よりも人物に焦点を当ててストーリーを進めていく大河的なスタイルで、戦闘も心情描写もディティールが細かい。 終戦まで史実より長引いたはずなのに8月15日という艦が居るのはどうしてかと思ったら、北日本の建国が1947年のその日なのか。 軍事知識を興味ない人よりはマシ程度にしか持ってない僕だけど、それでも楽しめた。小ネタとして登場する作家/アニメネタにもニヤニヤさせられる。 熱量のある非常に面白い作品だった。2018/04/25
FFLJAPANter
3
少しの歴史のズレが大きな変化を生む、歴史のIFの用い方が素晴らしい作品。この手のまともな架空戦記を読むのは初めてだったがもう少し早く出会っておくべきだった。それにしても中盤ぐらいまで大和(やまと)をどうかっこよく戦わせるか選手権繰り広げてるのほんとに好きですね…… ツッコミどころがないわけでもないが史実からの乖離が激しくなってからの展開も悪くないのがミソ。 別シリーズも読みますかね(未完であるということに目を瞑りながら)2024/05/04