中公叢書
大航海時代の日本人奴隷―アジア・新大陸・ヨーロッパ

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  • サイズ B6判/ページ数 201p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120049781
  • NDC分類 209.5
  • Cコード C1021

出版社内容情報

16世紀から17世紀にかけて、奴隷となった日本人が世界に広がっていた。異端審問記録から、もう一つの大航海時代史が立ち現れる。

内容説明

戦国時代の日本国内に、「奴隷」とされた人々が多数存在し、ポルトガル人が海外に連れ出していたことは知られていた。しかし、その実態は不明であり、顧みられることもほとんどなかった。ところが近年、三人の日本人奴隷がメキシコに渡っていたことを示す史料が見つかった。「ユダヤ教徒」のポルトガル人に対する異端審問記録に彼らに関する記述が含まれていたのだ。アジアにおける人身売買はどのようなものだったのか。世界の海に展開したヨーロッパ勢力の動きを背景に、名もなき人々が送った人生から、大航海時代のもう一つの相貌が浮かび上がる。

目次

序章 交差するディアスポラ―日本人奴隷と改宗ユダヤ人商人の物語
第1章 アジア(マカオ;フィリピン;ゴア)
第2章 スペイン領中南米地域(メキシコ;ペルー;アルゼンチン)
第3章 ヨーロッパ(ポルトガル;スペイン)

著者等紹介

デ・ソウザ,ルシオ[デソウザ,ルシオ] [de Sousa,L´ucio]
1978年、ポルトガル生まれ。ポルト大学人文学部大学院博士課程修了。博士(アジア学)。東京外国語大学特任准教授

岡美穂子[オカミホコ]
1974年、神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程修了。博士(人間環境学)。東京大学史料編纂所准教授。専攻、中近世移行期対外関係史、キリシタン史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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磁石

26
この時代は、どこの地域でも同じだったのかもしれない。日本で話題にならなかったのは、海外の貴金属や香辛料などに魅力を感じていなかったのか/価格が高騰していなかったのか、航海用の帆船製造/操舵技術がなかったのか……そこら辺はイマイチ分からず。ただ、奴隷と冒険者の区別は曖昧であって、その曖昧さが利用されて奴隷にさせられたり利用して高飛びしたりと、当時の人は強かだったことはわかった。あるいは今も、根本は変わってないのかもしれないが……。2017/10/26

さくらさくら

25
戦国時代、日本人は奴隷としてマカオ、フィリピン、ゴア、メキシコ、ペルー、アルゼンチン、ポルトガル等々に渡航していた。彼らが取引される際には「文明化」すなわち「キリスト教化」の儀式が伴い、それは長崎でもおこなわれた事を考慮すると、イエズス会の宣教師は、その取引が正当化されるプロセスに関与していた事になる。秀吉の「伴天連追放令」は日本人奴隷の売買を禁止する目的もあった事に驚いた。そして日本人が海外で傭兵として雇われていた事にも驚いた。2019/04/06

出世八五郎

24
本書はゴア異端審問所から追われるコンベルソの逃亡劇から始まる。ナチスの残党狩りのような執拗な行為が中世に既にあったのが驚きだった。逃亡ルート→ゴア→マラッカ→マカオ→長崎→マニラ→メヒコ。ポルトガル人が何故、本書を上梓したか不明だが(共同執筆者が妻)、ポルトガルで出版された「16・17世紀の日本人奴隷貿易とその拡散」中の第一章・第二章のみが本書に収録されている。2017/12/05

BLACK無糖好き

19
16世紀から17世紀にかけて海外に連れ出された日本人奴隷の足跡を辿る。テーマとしては興味を引くが、史料が限られているようで研究も限定的にならざるを得ないとの印象を持った。ただ16世紀の長崎の様子は興味深い、日本人奴隷と中国人奴隷がインドや東南アジア全地域出身の奴隷たちと共存していたという。また、長崎の日本人キリスト教徒の間ではユダヤ人の血統に対する嫌悪感があり、該当するポルトガル商人も出自を隠すのに苦労したようだ。日本イエズス会と奴隷貿易との関わりに切り込んだ、今後の続編に期待したい。2017/05/30

さとうしん

15
今まで存在は知られていたものの、細部に立ち入らないままだった日本人奴隷の姿を活写。序章で登場する日本人奴隷ガスパール・フェルナンデスが、主人一家がユダヤ人であったことによりアジア各地を転々と逃亡し、主人一家から引き離された後にメキシコで元の主人の息子と再会を果たしたという話を読むと気が遠くなるようである。世界各地にこうした事情で埋没していった日本人奴隷の子孫がたくさんいるのだろう。その一方で、当時の日本人奴隷は本書にも顔を出す中国人・朝鮮人奴隷と包括的に扱う必要があるようにも感じた。2017/06/20

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