中公叢書
日英開戦への道―イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実

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  • サイズ B6判/ページ数 315p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120049019
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C1020

出版社内容情報

日米間より早く始まった日英開戦に至った経緯を、日本の南進策、陸海軍の対英米観の相異と変質、英の東洋戦略の実態から検証。

内容説明

第一次世界大戦直後、イギリスはシンガポール海軍基地を建設。その後ワシントン軍縮条約を経て日英同盟が破棄された一九二〇年代には日本とイギリス帝国の南洋における利権が対立する。本書はイギリスの南洋政略と当時の日英のシーパワーのバランスを注視し、日本の南進策の実態と陸海軍の対英米観の相異の変質を再検討しながら、日英開戦に至った経緯をグランド・ストラテジー(大戦略)の観点から検証する。

目次

序章 「シンガポール戦略」
第1章 太平洋のバランス・オブ・パワー
第2章 海軍軍縮体制の終焉
第3章 世論の受け止め―一九二〇年代
第4章 世論の受け止め―一九三〇年代
第5章 一九三六年の南進策の再検討
第6章 マレー・シンガポール攻略「作戦計画」の起源と進化
第7章 欧州戦争の衝撃と南進
第8章 大戦略なき開戦
第9章 シンガポール攻略に向けた準備の完成

著者等紹介

山本文史[ヤマモトフミヒト]
近現代史研究家。1971年フランス・パリ生まれ。獨協大学英語学科卒業、獨協大学大学院外国語学研究科修士課程修了、シンガポール国立大学(NUS)人文社会学部大学院修了。Ph.D(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キミ兄

4
ワシントン条約におけるハワイとシンガポールの海軍基地の位置付けとか、開戦前の陸海軍に対するガバナンスのなさとか、なるほどにあふれた本。でも著者も海軍で一番悪いのは開戦をあおった山本五十六だと思ってるんじゃないだろうか。南進するだけならあれほどひどいことにはならなかったのかもしれない。☆☆☆☆。2018/10/29

八八

3
現在では大国というとアメリカを指すが、戦前の日本において大国と言えばイギリスとアメリカであった。このことは戦前の外交文書においてしばしば英米という一括りで扱われていたことからも理解できるだろう。本章は日米戦争として見られがちなアジア・太平洋戦争をイギリスという視点から把握しようというものである。その視点の中心にシンガポールを置き日英関係を描いていく。太平洋における日本と英国の協力と妥協から、中国問題に絡む危機と南進などをワシントン会議から開戦までを外交や軍事から述べていく。2020/10/13

ceskepivo

2
「日本にとっての悲劇とは、あの時代、国家のグランド・デザインを描く人物もいなければ、それを行うための組織も機関も、存在しなかったのである」。これで戦争を遂行したのか。2022/09/05

ワッキー提督

2
イギリス側の対日戦略など、類書が少ない分野については勉強になったが、後半の議論に関しては、参照している先行研究を漁った方が良いように思われていた。 特に最後に著者が「もしも参謀本部の権限がもっと強ければ、戦争目的を限定した戦争を行ったはずであり、あれほどひどいことにはならなかったはずだ」という結論は、世界大戦の本質を理解していないとしか思えないあまりにズレた主張であろう。 このような「ズレ」が最後に可視化されてしまったため、本書、特に後半部分は精査しながら読む必要がある一冊であると感じた。2021/09/01

Naoya Sugitani

1
良書。日英開戦の政治過程を明らかにしている。特に注目すべきはほとんどこれまで明らかにされてこなかったシンガポール要塞の真実。従来シンガポールは英軍の要衝として知られ、日本の初戦の勝利の象徴としてしばしば取り上げられてきた。しかし、その実態は要塞と呼ぶにはあまりに心もとない武装都市程度のものだったことが明らかにされている。イギリスとしても日本とアジアで戦端を開けばひとたまりもないことは分かっていた。なぜ日英同盟の蜜月を経て両国が戦争をすることになったのか。そのことを考えさせてくれる。2017/11/10

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