内容説明
海軍設立も幕府は崩壊へ―。最新鋭艦「開陽丸」を操り帰国した武揚は、世界情勢に背を向け内紛を続ける日の本の有り様に絶望する。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年3月北海道に生まれる。79年『鉄騎兵、跳んだ』でオール讀物新人賞受賞。90年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、10年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
57
中巻は正に激動の時代です。大政奉還~鳥羽伏見の戦い~江戸城無血開城まで。それにしても徳川慶喜は本当に英明だったのでしょうか?歴史のIFもしもではないですが、まともに薩長と戦っていたら、どんな国になっていたのでしょうか?トータルの感想は下巻読了後に。2016/01/14
ヒデミン@もも
31
歴史的には重要な時代なんだろうけど、史実が多くて飽きる。上巻、武揚の留学時代の方が人物が生き生きと描かれていて良かった。武揚が、徐々に面白みのない人間になっていくのは責任の重みのせいで仕方ないのか。2015/12/23
ロマンチッカーnao
29
幕末ものはずっと司馬作品だけを読んできました。その中で、何故幕府海軍は鳥羽伏見、彰義隊、北越、会津と傍観していたのか。海から攻撃を加えていれば結果は全く違ったはず。結局北海道に政府を作りを戦うのならなぜもっと早くに参戦しなかったのか。その疑問がこの中巻を読むことでわかりました。大政奉還し、幕府はなくなっても徳川家は存続していた。その徳川家の柱石として、江戸から駿河への移籍等の移動を海軍は担なっていたんですね。歴史の勉強になる一冊でした。下巻も楽しみです。2016/05/24
誰かのプリン
22
本編は、勝海舟の朝廷軍とのかけ引きが中心です。江戸を戦禍から守ろうとする姿勢や主家である徳川家存続にかける情熱は好印象でした。2018/09/05
reo
17
「上野戦争」が起きる前、勝義邦はこう考える。「彰義隊と東征軍とが衝突し、彰義隊が敗北すれば、慶喜再起の芽は完全に消え去る。東国の奥羽越諸国も旧弊にして頭が固く、未来への展望に欠けている」と。しかし戦争を避けよ、自重せよとの勝の呼びかけには、彰義隊の隊士の耳には入らない。そしていざ戦争が起きると一日も持たず彰義隊は敗走する事となる。この辺は司馬遼太郎著「花神」「アームストロング砲」が詳細を極める。何れにせよ慶喜の無責任な言動が徳川家臣家族17、8万人を路頭に迷わせる。そして武揚らは蝦夷共和国樹立へ動き出す。2018/08/11