出版社内容情報
江戸を笑わせた、絶体絶命の男、鹿野武左衛門。「江戸落語の始祖」といわれ、多くの謎と波瀾に満ちた男の半生を描く長篇小説。
内容説明
「江戸落語の始祖」といわれた鹿野武左衛門の謎と波瀾に満ちた半生を描く長篇小説。
著者等紹介
奥山景布子[オクヤマキョウコ]
1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。高校教諭、大学専任講師などを経て創作を始める。2007年に「平家蟹異聞」で第八七回オール讀物新人賞を受賞。09年、受賞作を含む『源平六花撰』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
73
面白かったです。覚えのない殺人の罪を着せられた冴えない職人の男が江戸に逃れ、見事な噺家になっていく…。ユーモアと人情に溢れた物語。実在の人物も登場し、当時の世相もうかがえ興味深い内容です。少しサスペンスタッチな展開もいい。落語のネタが随所に挟まれていてニヤリ。落語に詳かったら多分もっと楽しめただろうなあ…。スカッとするラストで、物語の「オチ」も見事。2019/07/10
なゆ
66
ああ、面白かった。こちらは江戸落語の祖と言われる鹿野武左衛門のお話。ちょうど米沢彦八を書いた『天下一の軽口男』を読んだばかりだったのでタイムリー♪武左衛門こと武平を咄家に仕立て上げたのが、菱川師宣門下の師茂、流宣、朝湖という三人の絵師だったというのも面白い。西鶴や芭蕉も人気があって、当時の文化の賑わいがよくわかる。終盤で巻き起こる出来事、立ち込める暗雲は、実にヒヤリと嫌な感じ。お笑いにまで言論統制ねぇ、コワイコワイ。それでも、ラストはうまいことまとまってて良かった。「べらんめえ、でんがな」バンザイ!2016/07/16
ゆみねこ
60
奥山景布子さん、初読み。江戸に落語が広がる過程を面白く読ませてもらいました。落ちぶれた武家の子供・武平が、人殺しの罪を着せられ仇討ちから追われ、江戸へ。出会いに恵まれ人気の咄家に。2019/08/18
TakaUP48
57
女房に逃げられるほどの辻咄好きの京育ち武平は、奇妙な事件で人殺しの罪を負い、逃げて流れて江戸に着く。絵師の石川流宣に見いだされ、咄家鹿野武左衛門が誕生。お座敷や小屋に呼ばれて、名前が売れて本も売れ…。いい案配に伴奏を入れてくれる三味線のお春と所帯をもち、仇討ちにきた清兵衛兄弟には身の潔白をわかって貰う。時は生類憐れみの令が発せられ、生き物の扱いによっては死罪もある時代。アホな八百屋のお陰で、武平も島流しの刑に。流宣が武平贔屓の甲府藩主綱豊へ決死の直談判。いつの間に?お春、お花と三人で京暮らしに、ほっ!2022/03/11
ぶんこ
56
江戸に落語が広まっていった頃のことがよく分かって面白かったです。元々落ちぶれた武士の家の一人っ子だった武平が塗師となったものの技はなく、興味があるのは辻噺を聞いたり芝居を観たりすること。人殺しをしたのではとの恐怖から江戸へ逃げ、菱川流宣に見出されて噺家の道へ。落語はこうやってできていたのかと新たな視点を得た気持ちになり、寄席にも行きたくなりました。根が真面目で穏やかだから人にも恵まれて、「生類憐みの令」で遠島となっても助けられ、妻子と浪速で温かな日々を過ごせるようになる。ホッとしました。2019/07/27
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