内容説明
没後20年、いま必要な歴史に裏打ちされた予見力、現実政治に提言する率直さ、道義性と理想主義。
目次
第1部(高坂正堯の戦後日本;外交史家としての高坂正堯―「歴史散歩」をする政治学者;「現実主義者」の誕生―高坂正堯の出発;社会科学者としての高坂正堯―一九六〇年代におけるアメリカ学派;高坂正堯の中国論;高坂正堯のアメリカ観―その「多様性」と「復元力」に魅せられて;二つのメディア変革期と高坂正堯;権力政治のアンチノミー―高坂正堯の日本外交論)
第2部(高坂先生の思い出と『一億の日本人』;半世紀前のハーヴァード、知識人の小さな共同体;「サンデープロジェクト」時代の高坂さん)
著者等紹介
中西寛[ナカニシヒロシ]
京都大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masabi
13
稀代の国際政治学者にして歴史家でもあった高坂正尭氏を巡る論考集。研究会の性質上なのか批判的なものが皆無であり、それだけあらゆる面で卓越した人物だったことを思わせる。高坂正尭の著作集にも手を出してみたい。内容は高坂氏を中心にして各年代の政治状況をも反映している。現在とは経済力こそ異なるが、特に安全保障についてはさほど変わっていない印象を受けた。安保法制が発端に国民間で議論が醸成され、全体でコンセンサスが取られるのか、それとも蓄積されずに流されるのか。国の成熟度が問われている。2016/07/13
スズツキ
3
近代政治学の泰斗の偉大さの論考。執筆している人物が日本の政治学の分野では名の知れた学者ばかりで驚く。いかに高坂が大きすぎた存在だったかということがそれだけで垣間見れる。2016/10/09
Haruka Fukuhara
2
中西寛はじめ高坂先生に縁のあるらしい先生方が敬愛や思慕を隠さずに文章を綴る中に苅部先生が混ざって普段通りの調子で書いているのはどこかおかしみを感じた。高坂先生の本は大学入学前から自然と手に取って読んで来たけれど、それがこうして第一線の学者達によって改めて位置づけられるのを見ると何とも感慨深い。昔学者を志したとき、念頭にあったのは高坂先生の姿だったけれど、こうして見ると随分と一般の学者の枠を超えた人だったようで、この人を志向しつつ京都でなく東京に進学した時点で自分の計画は既に破綻していたような気がした。2017/02/17
Studies
1
高坂氏は日本最高の国際政治学者(少なくとも当時)というコンセンサスがあり、高坂氏を通じて戦後日本を見るというのは斬新的だ。2018/09/29
kaz
0
もちろん学生時代からすごい先生だと思っていたが、改めて偉大な先生であることを認識させてもらった。お好きだった歴史との関わり方、日本がロールモデルとすべきイギリス外交、健全な日米関係のあり方等々、昔の記憶がほんの少し頭の引き出しから出てきた気がする。五百旗頭真「高坂正堯の戦後日本」、細谷雄一「外交史家としての高坂正堯-『歴史散歩』をする政治学者」、苅部直「『現実主義者』の誕生-高坂正堯の出発」、待鳥聡史「社会科学者としての高坂正堯-1960年代におけるアメリカ学派」、森田吉彦「高坂正堯の中国論」等2017/05/12
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