内容説明
1962年、迫りくる全面核戦争。アメリカ・ソ連・キューバ。それぞれの立場から見た危機の原因・経過・影響。実証的な歴史叙述と鋭利な分析。最新の資料案内付き。
目次
第1章 危機の背景(アメリカ・キューバ関係史;ピッグス湾侵攻とマングース作戦 ほか)
第2章 ミサイルの配備と発見(軍事力の内訳;情報をめぐるイタチごっこ ほか)
第3章 発見から海上封鎖へ(静けさの前の嵐;選択肢をしぼる ほか)
第4章 最悪の嵐(演説;アメとムチ ほか)
第5章 その後(キューバのミサイルの撤去;爆撃機をめぐるキューバ危機 ほか)
著者等紹介
マントン,ドン[マントン,ドン] [Munton,Don]
カナダのノース・ブリティッシュ・コロンビア大学教授。専門は国際政治学、とりわけ国際安全保障や環境問題。カナダの対外政策についても詳しい
ウェルチ,デイヴィッド・A.[ウェルチ,デイヴィッドA.] [Welch,David A.]
カナダのウォータールー大学教授。専門は国際政治学、とりわけ国際安全保障や国際政治理論。東アジアの安全保障問題についても詳しい
田所昌幸[タドコロマサユキ]
1956年、大阪生まれ。慶應義塾大学法学部教授。専門は国際政治学
林晟一[ハヤシセイイチ]
1981年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程中退。専門は国際政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
34
本書の目的:キューバ危機という危険きわまりない出来事を、簡潔かつ正確に、最新成果を織り込みつつ叙述、解釈すること(019頁)。キューバが中心にある、同心円状のミサイル射程(079頁)。イチエフからの放射能の波紋のようで極めて気色悪い。ケネディがキューバを侵攻しないと確約した際、ミサイル撤去の査察が明確な条件となっていた(169頁)。危機前後で、ケネディとフルシチョフの手際に明白なちがいが見られること(183頁)。2015/08/16
TATA
29
キューバ危機の背景にあったケネディ、フルシチョフ、カストロの三者の心理状態とその決断を回顧録などから解き明かす一冊。事実は小説より奇なりとはよく言ったもの。相手の思考を想像せず共感を避けると答えは必然衝突。直前で回避できたのは偶然かそれとも偉人としての決断だったか。危機に至るまでの思考は相手を出し抜こうという魂胆だったが、最後衝突を避けられたことはそこは大国の宰相ということなんだろうな。ただこれを読むとソ連は弱者の兵法で立ち向かおうとする図式は明白。歴史はどうやっても繰り返すものなんだろうと納得。2023/09/22
kmfm
11
冷戦を社会科で習った自分達の世代は、生まれる前にあった世界で最も核戦争に近づいたこの出来事を詳しく知らなかった。ケネディもフルシチョフも核戦争を望んではいないが、キューバの情勢も絡んで微妙な行き違いから事が大きくなった。正確な情報を入手するのに手間取ったのも、事が大きくなった一因だ。何とか平和的解決に終わったからよかったようなものの、もし核戦争になっていたら、犠牲者は第二次世界大戦の比ではないだろう。しかしこれは昔話ではありえない。IS、クリミア、南沙諸島…火種は尽きないのである。2015/06/13
ネコ虎
9
今また核戦争の危機にあるとき「キューバ危機」という本を読んで色々考えさせられた。キューバ危機での米・ソ・キューバ三者の動き、考え、反応をコンパクトにまとめられており、全体像をつかむのに役立った。彼らの動きを見ていると、核戦争に突入してもおかしくない場面が何度もあるが、米ソ首脳ともに核戦争だけは排除したいという思いがあった。しかし、両国軍部には核戦争辞せずという恐ろしい思いもあったようだ。なぜなのか。第二次大戦や朝鮮戦争から間もない時だったからだろうか。米ソ共に明日にでも侵略してくるという時代だったのか。 2017/04/29
oldman獺祭魚翁
7
図書館本 終末時計と言われる物が有る事を知っていますか?これは人類滅亡までのカウントダウンを時計で表した象徴的な物です。現在時計は3分前ですが、半世紀程前 これが1分前を切った事が有りました。それがこの本で書かれている「キューバ危機」です。これは危機がなぜ起こったのか、ケネディ・フルシチョフ・カストロはそれにどう対応したか、そして後世にどんな影響を残したか、手際よく纏められた良書です。読了後にフランスのクレマンソーの言葉を思い出しました「戦争の様に大切な事を軍人に任せておけるかね…」一読をお薦めします。2015/06/20
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