内容説明
終戦詔書作成の知られざるドラマ―。繰り返された字句・文言の修正に日本政治の病根を読む。詔書原本に加え、原案類全史料をカラーで掲載。
目次
終戦詔書とその草稿
第1章 ミミズクと弾痕
第2章 義命と時運
第3章 失敗の系譜とその形態
第4章 制度か人か
第5章 時運主義の限界
著者等紹介
老川祥一[オイカワショウイチ]
読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理、The Japan News主筆。1941年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。64年読売新聞社(東京本社)に入社し、盛岡支局に配属。70年政治部、76年ワシントン支局。論説委員、政治部長などを経て、取締役編集局長、大阪本社代表取締役社長、東京本社代表取締役社長・編集主幹等を歴任。2011年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
22
2015年刊行。終戦詔書の作成経緯について学んだ。天皇は1945年8月10日未明、御前会議で終戦の聖断を下した。政府は天皇の発言の趣旨を、詔書の形にしようと準備を始めた。陽明学者の安岡正篤が起草したのではない。政府が準備した詔書案に、安岡が何箇所か修正案を書き込んだ。安岡の表現には詔書に生きたものもあれば、結局採用されなかったものもある。国立公文書館が保管する詔書と草案を写真で紹介する。最後まで修正を重ねたことが見てとれる。2022/07/03
ゆうきなかもと
7
戦前から戦後と現在に至るまでの日本の政治の流れがよくわかる。 読みやすく、内容もしっかりしていると思う。個人的にはこの著書を通して、世の中を変えようとするジャーナリストとしての気概が感じられた。2015/06/02
BLACK無糖好き
6
終戦詔書の作成過程で繰り広げられた、時の政府関係者の責任逃れの心理を浮き彫りにする。原本に至るまでの原案の修正過程がカラーコピーで掲載されている(70ページ程の量)。注目されるのは「堪ヘカタキヲ堪ヘ・」の前に「義命の存スル所」とあったが、「時運の赴く所」に変更された。これは大義に基づく戦争終結という意味合いが、"ことの成り行き上止むを得ずそうなった"と変えられたという。これを起点に議論は責任ある政治家の役割から、昨今の政治や社会の劣化にも及ぶ。まさに政治家を選ぶ国民自身の見識も問われている。痛い(^^;;2015/12/08
choku_tn
1
日本が最終的に敗戦を受け入れ、宣明するまでの意思決定過程を緻密で分かりやすい構成によって描いた書籍。巻頭資料で終戦の詔書が形成されるまでの草案をページをめくって追体験できる。断片的な「戦争体験」なるものを通じて「2度と戦争はしてはいけない」という誰でも辿り着く単純な結論に達するより、本書から敗戦とは何だったかを見据え、そこから今日的課題を考察した方が遥かに有意義。学校教育においても然り。2022/08/15
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