内容説明
作家に請われて主従関係を結んだ美貌の姉、その証人となったうり二つの妹。「春琴抄」「細雪」など、数々の名作のモデルになった姉妹と文豪がかわした書簡の全貌。未公開書簡288通を含む全351通。
目次
1 出会いから「盲目物語」出版へ
2 恋愛の高揚と「春琴抄」
3 新婚生活と「源氏物語」現代語訳
4 戦時下の生活と「細雪」執筆
5 終戦から「雪後庵夜話」まで
著者等紹介
千葉俊二[チバシュンジ]
1947年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
93
耽美で非現実性の作品を描く谷崎の知られざる一面を見たような気がしました。後に妻となる松子への恋文がとにかく情熱的で、女神を崇めるような雰囲気が凄いなと思わされます。谷崎が情熱を注いでいた頃はまだ人妻だった松子に書かれた至高の手紙はまさに芸術の域を超えています。後の手紙が事務的になるのは結婚したということと、当時の歴史的背景がそうさせたのだと想像せざるをえませんでした。全ての手紙が残っておらず、往復書簡でないのは残念ですが、美学的な恋文を拝見できるのは好みの一言です。2016/07/02
宵待草
50
此の本は谷崎潤一郎と3番目の妻と成る松子との、出逢いから約40年間に渡る288通の書簡集です。 表紙の松子の写真の何と上品で麗しい事でしょう! 気品ある美しい才媛の松子を自身の文学のミューズとして、如何に崇めて愛したのか!をとても理解する事の出来る造本と成って居る一冊です。 谷崎潤一郎と云えば代表作『春琴抄』『細雪』そして随筆の白眉と云われる『陰翳礼讃』、、、枚挙に暇がない作家の一人です。 其の生涯で3度の結婚や離婚した元妻・千代が佐藤春夫と再婚した、世に云う『細君譲渡事件』の、、、コメントへ続く2021/07/02
D21 レム
22
鞄やぞうりや食物や敷物などを安い店を選んで、こまめに買って送る、松子さんの腰をもんで食事のお世話をする、お金の工面にかけまわる、たくさんの人のために動き回っては平身低頭であやまる。家族の問題に対処して、犬や猫にも気を配る。有能な主婦のような役に立つ働き者で、かつ、楽しむことも忘れない。いい人なのだが、何かしてはあやまり、何か言ってはあやまる。それをうるさく感じて「もうええわ!」という気持ちがわいてくる恋文。最初からサディストの女性がいたというより、谷崎が女性のサド部分を引き出してもいたのだな、と発見した。2015/03/19
井戸端アンジェリか
13
まだ人妻だった頃の松子さんへの恋文は強烈。まるで女神を崇めるようで、こんなふうに愛されたら女冥利に尽きるってものよ。 ところが結婚以降はお金の問題が多くなってドンヨリ気分になり、晩年の手紙の素っ気なさは寂しくなる。出会いの頃のあの情熱と約束はどうしたの!!と、松子さんになり代わり訴えたい。やっぱり男って若い女がいいのね....。 全ての手紙が残っているわけではないので往復書簡じゃないのが残念なのと、戦時中の物資・食糧不足でも観劇等を欠かさないところは優雅で細雪だなぁです。2015/05/08
桜もち 太郎
9
2014年に谷崎の義娘である恵美子さんの承諾を得て今回の公表となった。その年に亡くなった恵美子さんの遺言だったのだろう。かなりの枚数であるが、残念なのは、ごっそりと抜けてしまっている個所があるところである。特に、谷崎の創作に最も影響を与えた恋愛期間の松子から谷崎への書簡がないということだ。解説によると、焼夷弾による消失や、戦争中の管理によるものか不明のようだ。もしかしたらどこからかまた、ごっそりと出てくるかもしれない期待はある。当時の谷崎の書簡では、松子への谷崎特有の主従関係、忠誠を誓いながら松子の主人の2015/02/04




