内容説明
初恋の人を奪った親友の息子に、『痴人の愛』から「直巳」と名付けた真由子。22歳年下の直巳を手塩に掛けて“調教”し―。憧れ、嫉妬、そして復讐。谷崎潤一郎賞作家がおくる、絢爛豪華な愛憎劇がここに!
著者等紹介
山田詠美[ヤマダエイミ]
1959年東京都生まれ。85年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞、作家デビュー。87年『ソウル・ミュージックラバーズ・オンリー』で直木賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、2001年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
164
山田詠美、作家生活30年の集大成と言われると厳しい評価になりますが、谷崎潤一郎賞受賞作家のお遊び的作品と思えば、十分楽しめます。但し、谷崎潤一郎的というよりも女、島田雅彦のような気がしたのは私だけでしょうか?また中央公論新社より今年5月に豪華な(全26巻;総額156,420円(税別))谷崎潤一郎全集が発売されますが、その前座のような作品かも痴れません。2015/01/27
きさらぎ
137
この世に理想の男など存在しないと思い始めた頃知った、かつての親友の妊娠。常に傍らにいて理想の男に育てつつ、彼女の息子と証拠はないのに気配だけを匂わせる怪しい関係でかつての親友を恐怖に突き落としていく。そうされる理由があるから仕方ないけれど、一人息子を溺愛する母としては狂いそうになるだろうな。育て上げるのは本物の大人の男ではない。大人の振る舞いを身につけ、本当に手にいれたい人には、芯に残した子供の部分を見せる人たらし。男でも女でも大人と子供の絶妙なバランスが人を惹き付ける。そこには実際の年齢など関係ない。2017/05/01
優希
101
歪んだ憎しみと愛情が恐ろしい話です。谷崎潤一郎の『痴人の愛』を元に描き上げた作品。真由子が親友・百合に憧れの男性を取られたことで彼と百合の息子・直巳を支配するのが凄かったです。その背景もドロドロしたものを感じました。文章が丁寧な分、恐ろしさを感じずにはいられません。真由子と百合が最後まで離れなかったのは女同士の戦いだったのでしょうか。年下の少年が年上の女性に憧れるという描写は詠美さんならではだと思わされます。ラストの怖さには鳥肌が立ちました。面白かったです。2015/08/21
みんと
100
ナオの純粋さが健気だけどかわいそう。 結局、初恋はマインドコントロールされた妄想だったのだろうか。 ユリと真由子が心に抱き続けるドロドロ。 女って執念深くて怖ろしいなと思わせる。 しかし、衝撃の結末のはずなのに、動揺することもなくサラッと読んでしまった。 たぶん、現実離れしすぎていたからか、気持ちがついていかなかったのかもしれない。 愛に尊敬はいらない。なるほど。2015/07/17
nyanco
92
エイミー、おかえりなさい。とてもとてもエイミーらしい作品でした。『無銭優雅』で老いの愛を描き、『ジェントルマン』では男色を。愛の先導者であったエイミー、年を経て何をどう描けば良いのかと考えられた時もあったのだと思います。様々な形の愛を描いてきたエイミーが、今描く愛の形。谷崎潤一郎の「痴人の愛」のナオミを友人の息子・直巳になぞらえ、描かれた「賢者の愛」父と初恋に人を奪った「ちょうだいおばけ」のユリの息子・直巳の最愛の人になった真由子。続→2015/02/14
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