内容説明
豊臣秀吉の天下統一前夜。肥後国(熊本)田中城では村同士の諍いの末、一人の男の命が奪われんとしていた。彼の名は岡本越後守。だが、男は潔く首を差し出そうとするも、突如来襲した秀吉軍に城内は大混乱に陥ってしまう。九死に一生を得た男は、武器を取って応戦するが、これがめっぽう強かった。その戦いぶりを見込んだ敵将・加藤清正は、最愛の女性「たけ」を人質に軍門に降らせ、朝鮮の陣に従軍させることに成功するが―。豊臣に故郷・肥後を踏みにじられ、復讐心に燃える軍人・岡本越後守。豊臣にひたすらに忠節を尽くさんとする猛将・加藤清正。男の意地と意地が、朝鮮の戦場で激突する!
著者等紹介
中路啓太[ナカジケイタ]
1968年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得の上、退学。2006年、「火ノ児の剣」で第1回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞、作家デビュー。2作目『裏切り涼山』で高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
70
中二病である。天狗に教えを受けて、自分を超えた自分であろうとする純粋で頑なな、意地っ張りの漢である。その想いはあくまでも一途だ。勝者には強き者こそ弱者を思いやることの道理を説き、戒める真っ直ぐな信念を持ち揺るぐことがない。国を無くし、愛するものや矜持をも奪われて…それでももののふの道を信じて、異国の地で闘い続けた漢である。そして彼の地での勝者の無慈悲さに自分達日本人が眼を背けてきた歴史に向き合う作品でもある。2018/02/06
とん大西
61
秀吉が繰り出す天下の大軍が肥後を蹂躙する。いくさ人として肥後人として己れのもののふ魂を侮蔑された岡本越後守。派遣司令官である加藤清正への敵意を剥き出しにして莫迦正直にもののふとして悩み、生きる。そんな越後守の生きざまに惹かれていった清正、たけ姫、粂吉。莫迦な越後守に憧れつつも立場の違いに葛藤し、心のままに生きられない戦の世界。クライマックスは朝鮮の役。越後守が莫迦を貫くさまが骨太感たっぷりで清々しい。花の慶次にも似た爽快さに読後感も良。なかなかの読み応えでした(ちと長めやけどね)。2017/12/29
ドナルド@灯れ松明の火
27
「疲れた」正直な感想。読みにくいったらありゃしない。この話なら多くても3分の2で書けたろうに。しかもプロットがずれていくような感じもした。たけの存在が救いだった。 残念2017/04/11
ひ ろ
23
★★☆☆☆ 予想に反して苦読となってしまった。タイトルも表紙もけっこう嗜好に合っていて、こりゃ一気読みだろなと思ってた。 だが、越後もたけも粂吉も、あまりに極端で常人離れしていて感情移入出来ず。 設定とかは好きなんだけどなぁ(-_-;)2018/04/01
湖球
14
もののふ、武士としての道、生き方に莫迦まじめに拘った人たちの物語。 豊臣に故郷肥後を略奪平定され復讐に燃える越後守、一方豊臣の命を受け忠誠を誓う加藤清正。 乱世に生きた二人が正反対の立場にありながら、もののふを極めそれに恥じない生き方を模索するが 辿る道は違えど求めるものは同じ。たけと越後の想い、それを知っての清正の思惑、見事なまでの心理描写 読み応えのある一冊です。2016/09/09