内容説明
美術史家として、歌人・書家として、師なくして「学」と「藝」の二つの世界を極めた、求道の文人の思索と研鑽の生涯。會津の教え子であった関係者の貴重な証言や、會津の肉声を伝える書簡など多くの資料を博捜し、明治・大正・昭和の激動の時代を生き抜いた、たゆまぬ思索と研鑽の生涯を明らかにする。
目次
序章 奈良美術研究の第一歩
第1章 會津八一の美術史学
第2章 會津家の人びと
第3章 小中学校時代
第4章 幕末維新の知識層と東京大学の学生
第5章 鴎渡会と東京専門学校の創立
第6章 脚気の再発と俳句、そして書
第7章 東京専門学校と早稲田大学
第8章 奈良の風光、美術との出会い
第9章 奈良は夢裡にも忘れざるところ
第10章 学藝の充実
著者等紹介
大橋一章[オオハシカツアキ]
1942年生まれ。高知県で育つ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得。早稲田大学教授、同第一文学部長、同會津八一記念博物館長、現在は同名誉教授。専攻は東洋美術史、奈良美術。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yui
0
英語教師・歌人・書家・美術史学研究者である八一の生涯が著者の奈良美術研究の歩みとともに紹介される。随所に出て来る八一の歌や文章、交友関係そして八一の考える美術史についてなどなど、盛り沢山でありながら楽しく読むことができた。文献と実物の両方を大切にし、とにかく生きて学び続けろという「生きること学ぶこと」への執着の強さが彼の魅力であると感じた。美術史を学ぶものとして心に留めておくべき事柄も満載の一冊でした。2015/04/05
Nick Carraway
0
著者が早稲田大学第一文学部長を経た人なだけに、早稲田大学校史への脱線が甚だしく、多面的な會津八一の業績のうち、美術史研究と書家としての比重が大きいのも、著者の専攻が東洋美術史ゆえに宜なるかな。八一が新潟に永住してからの記述が皆無なのは残念だが、その生誕から青春時代までは丁寧に描かれている。今般改めて八一の作った「学規」を読んでみて感動を新たにす。著者が八一と呼称せず、「會津」と言うのに違和感あり。茂吉ではなく「齋藤」と呼称するのも同様に。子規・漱石を「正岡・夏目」と言わないのと同様だと思うのだが。2020/03/29