内容説明
実戦に参加した者にしかわからない恐怖の体験や、戦友との友愛、理不尽な上官への反抗、食糧の奪い合いなど、軍隊生活での葛藤の記録。束の間の小さな恋と休息を振り切って各地を転戦、原題「Helmet for My Pillow(ヘルメットを枕に)」のとおり、一兵士の目から見た戦争を克明に描く。
目次
1 新兵
2 海兵隊
3 戦士
4 逸楽の民
5 営倉ネズミ
6 古参兵
7 犠牲者
著者等紹介
レッキー,ロバート[レッキー,ロバート] [Leckie,Robert]
1920年、ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。真珠湾攻撃の直後の1942年1月、21歳でアメリカ海兵隊に入隊、第一海兵師団に所属し、ガダルカナル島、ニューブリテン島、ペリリュー島を転戦、ペリリュー島で負傷し、帰国した。戦後、AP通信や各地方紙の記者として働くが、1957年、自らの戦歴を描いた回想録を執筆、以降、戦史研究家として多くの作品を著した。2001年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
19
ザパシフィックの原作のひとつで元記者のロバートレッキーがミュージカルの南太平洋を観た時に戦争はミュージカルではない、真実を語らねば、と執筆した作品の1つだそうです。内容は20代の青年が体験した無慈悲な殺戮、過酷な環境、忍び寄る恐怖と狂気、如何に楽しみを見つけ全力で楽しむか、理不尽な階級社会と反発、兵士達の日常が感じられる作品です。ガダルカナルは日本の完敗と思っていましたが読んでみるとアメリカ海軍は敗北して海兵隊は孤立して消耗し島を出る時は歩くのがやっとで海に落ちる者が続出で勝者というより敗残兵のようだった2018/10/16
るい
6
淡々と語られていく内容は、戦争そのものではなく、環境や感情と必死で戦うもの。 凄惨な出来事が絶え間なく起こる中、なんとか正気を保とうとする、どこまでも一兵士の目線でより深くこの大戦を知ることができたのではないかと思う。2017/03/04
Mikarin
4
TVミニシリーズ 「ザ パシフィック」の原作本。ガダルカナルやニューギニアの戦いというと日本側からの視点で悲惨さが強調されがちだが、対するアメリカ側も楽な戦いではなかったのがよくわかる。2017/03/05
DIVERmope
4
ユージン・スレッジ氏の著作とセットで読みました。こちらは戦争を通じた兵士個人の青春、生活を中心に描いた著作であり、著者がライターということもあり、文からは教養を交えた皮肉や、軍人という名の青年の生活臭がほのかに香る。こういったタイプの戦記はあまり類を見ないと思う。戦争を傍らに、神聖なる歌を卑猥な替え歌にして遊んだり、酒と女を追いかける軍隊での生活は、どこの軍隊でも似た光景があり、それと同様に犠牲のサインが生存者の苦しみを凌駕しつづけることも、神話の世界から現代に至るまで変わらないのだろう・・・。2015/05/29