内容説明
満洲事変以降、国防の充実を最優先する陸軍は、要求する政策を実現するためにどのような政治行動をとったか。本書は関係者の日記など膨大な資料を利用して、昭和一一年度予算編成の過程を詳細に検証する。とりわけ、陸軍省首脳のリーダーシップの欠如に起因する中堅幕僚の擡頭、部内上下の亀裂と統制の乱れに注目し、予算編成をめぐる紛糾、二・二六事件の善後処置の立案、さらに広田弘毅内閣組閣の際の介入などが、中堅層の主導で進められたことを明らかにする。政治勢力としての昭和期陸軍の実態に光を当てる力作論考。
目次
第1章 予算編成方針の決定と陸軍の概算要求(予算編成方針の決定;陸軍の概算要求)
第2章 陸軍省中枢の変容と大蔵省の査定(陸軍省中枢の変容;大蔵省の査定)
第3章 予算閣議の紛糾と参謀本部の異議申し立て(予算閣議の紛糾;参謀本部の異議申し立て;昭和一一年度陸軍予算編成の政治史的意味)
第4章 陸軍省の内訌の軍備計画の検討(陸軍省の内訌;軍備計画の検討)
第5章 二・二六事件の善後処置と政策実現要求(二・二六事件の善後処置;政策実現要求;国防の充実の具体的成果)
著者等紹介
大前信也[オオマエシンヤ]
昭和34年(1959)奈良県に生まれる。慶應義塾大学文学部、京都大学法学部卒業、コーネル大学大学院アジア研究科修士課程修了、京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程研究指導認定退学。現在、同志社女子大学現代社会学部嘱託講師。専門は日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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