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中公叢書
政治勢力としての陸軍―予算編成と二・二六事件

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  • サイズ B6判/ページ数 243p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120046285
  • NDC分類 396.21
  • Cコード C1031

内容説明

満洲事変以降、国防の充実を最優先する陸軍は、要求する政策を実現するためにどのような政治行動をとったか。本書は関係者の日記など膨大な資料を利用して、昭和一一年度予算編成の過程を詳細に検証する。とりわけ、陸軍省首脳のリーダーシップの欠如に起因する中堅幕僚の擡頭、部内上下の亀裂と統制の乱れに注目し、予算編成をめぐる紛糾、二・二六事件の善後処置の立案、さらに広田弘毅内閣組閣の際の介入などが、中堅層の主導で進められたことを明らかにする。政治勢力としての昭和期陸軍の実態に光を当てる力作論考。

目次

第1章 予算編成方針の決定と陸軍の概算要求(予算編成方針の決定;陸軍の概算要求)
第2章 陸軍省中枢の変容と大蔵省の査定(陸軍省中枢の変容;大蔵省の査定)
第3章 予算閣議の紛糾と参謀本部の異議申し立て(予算閣議の紛糾;参謀本部の異議申し立て;昭和一一年度陸軍予算編成の政治史的意味)
第4章 陸軍省の内訌の軍備計画の検討(陸軍省の内訌;軍備計画の検討)
第5章 二・二六事件の善後処置と政策実現要求(二・二六事件の善後処置;政策実現要求;国防の充実の具体的成果)

著者等紹介

大前信也[オオマエシンヤ]
昭和34年(1959)奈良県に生まれる。慶應義塾大学文学部、京都大学法学部卒業、コーネル大学大学院アジア研究科修士課程修了、京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程研究指導認定退学。現在、同志社女子大学現代社会学部嘱託講師。専門は日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

らっそ

9
陸軍の組織構造と人間関係が分かると深く理解できるのだと思う。分かっていなくても、戦前の陸軍がもっていた絶対的な存在感が伝わってきた2017/08/06

ポン・ザ・フラグメント

9
結局のところ、二・二六事件で得をしたのは官僚機構化した陸軍中堅層だったということか。彼らは陸軍自ら内閣を組織することは望んでいなかった。要求通りの予算さえ確保できれば十分だったわけで、叛乱部隊の青年将校たちが理想主義者であったのに比べて極めてリアリスティックな判断で事件を利用したのである。つまり、恐ろしいのは過激論を振り回す者よりも物分かりがいいふりをした人のほうということだな。2015/04/06

ネコ虎

8
軍務局軍事課予算班長高嶋辰彦少佐の日記を通して、226事件前後の陸軍予算要求の際の参謀本部及び関係機関等との折衝の分析。当時の陸軍中央の幹部と少壮中堅将校との軋轢や人事抗争が語られる。予算折衝については専門過ぎて理解が及ばないが、著者による意味づけの分析も不足している。予算折衝の困難さは当たり前すぎて迫ってくるものがなかった。226の陸軍上層部による収拾失敗が中堅将校を勢いづけたようだが、これは日本企業では当たり前に見られることではなかったか。調子に乗り過ぎた少壮軍人たちと統制できなかった上司の不幸か。2016/12/06

ロッキーのパパ

7
この切り口から見ると、旧日本陸軍って官僚組織だったことが良く分かる。 高嶋少佐のキャリアを見ると、服部・辻・瀬島などと同様に名前が残っていてもよさそうなのに、それほど有名じゃないのが不思議だ。2015/06/19

Fumihiko Kimura

5
2.26事件前後の陸軍予算編成の動向を、予算班長の日記(高嶋日記)により精緻に分析し、相沢事件後の陸軍省内の人事・組織的混乱がそのまま2.26事件、その事後処理に影響を与えていく様が描かれている。結果的に、通説的陸軍内の派閥動向による説明ではなく、上下関係の葛藤が描き出されており誠に興味深い新視点。個人的には陸相としての林銑十郎や、広田内閣組閣への武藤章の立ち位置など、認識を新たにした。好著。2015/02/28

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