太閤の能楽師

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120046230
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

母・藤尾を通じ何者かから“太閤を能に没頭させよ”と密命を負わされた眉目秀麗な能楽師・暮松新九郎。藤尾は遊女宿を営むが、権力者と密通する謎多き女だった。新九郎は朝鮮出兵のため肥前・名護屋城にいる太閤秀吉を訪れる―。前代未聞の禁中能の舞台で交錯する武将たちの思惑。新九郎を戦慄させる秀吉の狂気。選ぶべきは権力者への服従か、己の芸道か?そして、苦悩する新九郎が密命を果たしたとき、待ち受けるものとは!?

著者等紹介

奥山景布子[オクヤマキョウコ]
1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。高校教諭、大学専任講師などを経て創作を始める。2007年に「平家蟹異聞」で第八七回オール讀物新人賞を受賞。09年、受賞作を含む『源平六花撰』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

森の三時

33
秀吉の生涯は、駆け上がるように天下統一を果たすところまではたいへん人気があるが、本作は傾きかけた晩年の数年間、あまり描かれたことのない「能狂い」の話である。神のごときシテになれるとの甘言に、信じて目指す秀吉の強欲さ。権力と富にものを言わせて突き進む様や激昂し命を軽んじる振る舞いは不快であるが、そこまで能にのめり込んでも、秀吉から文化の薫りがしないのは憐れである。劇的な場面や起伏は少なく作家の文体は静かであるが、能が一見静に見えても、その中に計り知れない動が感じられるものであるのと同じく、私は満足している。2018/02/07

むつぞー

29
戦国の世ではありますが、戦闘シーンもなく、よくあるこの時代を描いた小説とは、違った時代の切り取り方をしています。 戦国武将たちの争いよりも、能楽四家の中でその地位をあげようとする安照の強かさと、無事に純粋な新九郎の対比も面白いです。 その新九郎を彼の母を使って、名護屋へ送ったのは誰なのか、その意味はという所が謎にもなっていて、物語の先へ興味をもたせますし、面白かったです。 個人的には北政所・寧さまがとても良かったです。 そして初めての対面で新九郎が舞った「邯鄲」の使い方も。2014/08/01

ともくん

26
太閤さまのような、この現世でもっともお力のある方が、能を習熟なされば…ご自身がそのまま、神になれると存じます─ 何者かの命により、豊臣秀吉に近づく能楽師、暮松新九郎。 次第に、秀吉に魅せられ、秀吉を恐れ、秀吉から遠ざかりたいと願う。 暮松を操る人物とは…2025/01/05

007

19
★★★★☆ 違った視点からの戦国時代。秀吉の意識を朝鮮出兵以外のことにも向けたい黒幕がいた。利休亡き後下火になった茶の湯の代わりになる交流の場としても能がもてはやされていった。何でもかんでも政治の具として利用されたんだな。所々で登場する北政所が可愛らしく、清涼感があった。昨秋雨天のため名護屋城の薪能を観ることが出来なかったのが悔やまれる。2014/08/11

あすか

16
秀吉も伝統芸能も好きなので、本を開く前からワクワクしました!出自にコンプレックスがあった秀吉だからこそ、暮松の「神になれます」はすごいパワーワードだったんじゃないかな?最初は無邪気に能を楽しんでいた秀吉がどんどんのめり込み、猟奇的になっていくのは怖かった・・・。秀吉の物語にはやっぱり寧は欠かせないね!2020/08/01

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