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楽園

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  • サイズ B6判/ページ数 243p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120046056
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

京都の川沿い、かつての花街で美しく変身した女。嫉妬する隣人たちの行き着く先は、楽園か、地獄か? 女の「価値」を問う問題作。

内容説明

京都でも特別な意味を持つ街、「楽園」と名付けられたその一帯は、かつて男が女を抱きに訪れる場所だった。お茶屋の跡に建てられた白い壁のアパート「楽園ハイツ」そこに住む6人の女たちの間で静かに熟成される、うぬぼれ、疑い、焦り、嫉妬。京都の川沿い、かつての花街でひとりの女が美しく変身した。戸惑う隣人たちが行き着く先は楽園か、地獄か?

著者等紹介

花房観音[ハナブサカンノン]
京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などに勤務。2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

209
読みながらこれだけ付箋を付けておきながら、感想の書きにくい作品も珍しい。花房さんは、オンナの情感、嫉妬、そして「老いることへの」焦りを描くのが本当にお上手。この作品に出てくる女性たちの誰もが(17歳の芽以奈でさえも)少しずつ私の中に棲んでいる。ラストまで読んで、初めて冒頭がストン、と心に落ちてくる。「男たちを愛することで、私は私を愛することができた」深いぜ。2016/04/05

青蓮

101
読み友さんの感想から。「楽園ハイツ」に住む女性達の性愛を描いた物語。共感したのは寺嶋蘭子の章かな。読んでてなんか胸が痛かった。周りからどう思われようとも「女」と言うものを全力で味わったみつ子はある意味勝者だと思う。彼女は愚かかもしれないけど、快楽を、欲望を貪りながら「女」であり続けたのは凄い。私も30を過ぎて、いつまで「女」であり続けることが出来るのか、何となく怖い。老いと死は容赦なくやってくる。大事なのは「年相応」の「女」でいることなのかなと思ったり。2015/11/04

モルク

76
「楽園」と呼ばれた赤線の跡地に建つ「楽園ハイツ」の住人たちと顔に大きな傷痕のある大家の老婆との物語。年齢を重ねてもいつまでも一人の女であり続けたいと願う女たち。うぬぼれ、嫉妬が渦巻き彼女らの生と性を描く。そこに一階の喫茶店のマスターが妖しい魅力で絡む。読後に、ああ序章の主人公は彼女か…とわかる。ちょっとミステリー?そしてもちろん官能描写もある。2018/05/09

Ikutan

66
京都花街、高瀬川沿いの一帯に存在した『楽園』。男を解放し女の価値を生み出した場所。そこに建てられた『楽園ハイツ』に住む女たちのそれぞれの欲望をねっとりと描いた大人な物語。嫉妬や不安を抱えながらも「いい家族」と思い込もうとする女の苦悩。若い男に溺れる女の危うさ。元夫の一言に縛られる女の辛さ。かつて『楽園』に身を置き、男を知り尽くした女の思い。夫を亡くしてから激変した女がたどり着いた深みとその娘の強かで冷めた視線。そして、大家の顔の傷が語る深く重い過去。40女たちの性愛にもがく姿が愛しくも切なかった。2015/09/09

らむれ

66
ねっとり、女の内面が濃く描かれていて、沼に片足突っ込んじゃった気分。女っていうアイデンティティを保ち続けるのは難しい。女の人は小さい頃から見た目で判断されることが多くて、嫌なことだけど、案外それが拠り所になっていたりもする。特に若いうちは。そういう表層の部分が年齢とともに剥がされて、最後に残る女の在り方を結晶させたのが「楽園」だと思う。楽園が天国なのは女でいられるから、地獄なのは女であることを目の当たりにするから。女っていう性が諸刃の剣なのね。拘泥するって怖い、でも手元に何も残らないのはもっと怖い。2015/06/16

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