内容説明
愛子は田代から秘密を打ち明けられ、疑いを持った優馬の前から直人が消え、泉は田中が暮らす無人島である発見をする―。衝撃のラストまでページをめくる手が止まらない。『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!
著者等紹介
吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。97年、「最後の息子」で文學界新人賞を受賞、作家デビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
826
下巻では徐々に明らかになる 3人の過去と、その周りで 戸惑う人々を丹念に描く。 いつ3人の過去がクロス するのか、そして、山神一也とは一体誰なのか? 一緒に暮らす人が、愛する 人が殺人犯かもしれないと 考える人の人生は一体 何なのか? 事件の背後で、見え隠れ する人生が印象的な 下巻だった。2015/04/11
にいにい
432
上巻に引き続いて一気読み。グングン引き込まれる。吉田修一さんの文体、構成いいなぁ。人を分かるということ・人を信じるということの難しさが痛感された。自分の不利益が予想されても信じぬくことがどんなに大変か。人は、どこまで相手のことを知らなきゃその人を信じられないか。深いテーマが横たわる作品。沖縄の基地の問題も最後の殺人に絡む。「怒り」は、何に対してのものか?矛先を何に向けれるのか?答えが見いだせないものも残る。愛子たちや泉たちに光が見えるのが嬉しい。辰哉には他の方法がなかったか問いたいが最後の手紙には、脱帽。2014/09/21
Satomi
397
ハマった、一気読み。テレビに映る犯人の顔。素性は分からない側にいる大切な人が犯人に似てる、特長が同じ、信じたい…信じきれない…疑ってしまう…。通報するか否かの葛藤…。彼の中の「怒」は何だったんだろう。犯行に至った背景は何だったんだろう。なんとも哀しい結末。2014/06/08
reo
277
ふむふむ、なるほど、そうなるのか。でもね「怒」と書きなぐった意味が、世の中に「怒」なのか、親兄弟に対して「怒」なのか、何に対し「怒」なのか、もうひとつはっきりしない。それと、美佳は何故北見刑事と結婚できないのか、美佳にはどんな過去があるのかが最後まで明かされないという不満は残るが、しかし作品としては一級品の面白さ。それと映画が『フラガール』『悪人』『許されざる者』の監督李相日で、去年の9月公開されてるんだ。知らなかった。早速TSUTAYAに行こう。この監督の『フラガール』では泣かされたものな。いやホンマ。2017/01/16
ナイスネイチャ
276
結局あなたはどれだけ人を信じる事ができますか?自分の信念を曲げずに。読者に読んでいる間1人以外は犯人ではないんですよ、でも全員犯人かもって疑心暗鬼になりましたよね?で疑われた人の気持ち考えて下さいって投げかけてました。凄い後味悪い~。でも面白い。2016/05/11