内容説明
殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!
著者等紹介
吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。97年、「最後の息子」で文學界新人賞を受賞、作家デビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
789
冒頭の殺人事件で犯人が 浴室に血で書いた「怒」の 文字が心に痛い。 現代人の世の中に対する怒りの ようなものが、静かに 伝わってくる…読売新聞の 朝刊連載らしく、区切りが 短く、余分な感情描写が ないためなのだろうか。 怒りながら、でもどこか 「諦めている」現代の 若者の心を、生態を描く… 上巻で平行して進む3組の 物語…下巻でどうクロスさせるのか、楽しみ。2015/04/05
にいにい
348
吉田修一さんのこんなスタイルの作品好きだな。面白い。殺人犯を捜索する話が進行するなか、異なる3か所に怪しげな3人の男たち。その生活が語られる。3人の男たちは、明るいわけではないが何となく憎めない。周りの人間との交流が密接になる。男は、犯人なのか?3人は多くを語らない。周辺の人々の心理を巧みに表している。続きが気になって、ページを捲る手が止まらない。さ、下巻に突入だ。興味高まる導入の上巻。2014/09/20
Satomi
328
吉田修一きたぁー!!40度近い室内でエアコンのスイッチを探し苛立つ・・・被害者の血で書かれた「怒」の文字・・・。冒頭から一気に引き込まれた。犯人誰??下巻、下巻、早く読みたい!!2014/06/07
ナイスネイチャ
263
三カ所の土地で怪しい過去を持つ人物が別々の物語として進んで上巻は終わりました。誰が犯人なのか?どう繋がっていくのかいかないのか?モヤモヤしたまま下巻へ。2016/05/11
文庫フリーク@灯れ松明の火
261
八王子郊外での尾木夫妻殺害事件。太陽光パネルを併用した特殊なシステムの一軒家、エアコンも動かせず40度近くなった室内に、全裸で6時間も留まった犯人。廊下には被害者の血を使い、指で書かれた「怒」の文字。隣家の目撃者と、無灯火運転していた犯人の自転車を呼び止めた巡査証言により、作成された精緻なモンタージュ。全国指名手配された男は、丸1年経過しても逮捕に至らず。新たに〈丸刈り・黒ぶち眼鏡の変装〉ゲイイベントのメモから〈長髪のかつら・うっすらと化粧した女装姿〉の写真2枚をTVの公開捜査番組に公開し、情報提供を→2014/06/03