出版社内容情報
『おひとりさまの老後』で人気の上野千鶴子が12人の尊敬する女性を迎え、3・11後の世界を生きるための希望を語り合う
内容説明
女の力を活かさないこの国に未来はない。3・11以後の日本をめぐって上野千鶴子が12人の女性と徹底討論!
目次
崖っぷちからの希望(高村薫)
死の意味がほしい(瀬戸内寂聴)
それでも生きていく(永井愛)
マスメディア不信を越えて(国谷裕子)
新しい「幸せの形」とは?(田中眞紀子)
“差別の再生産”を許さない(辛淑玉)
イギリス流「老いらく社会」をめざせ(浜矩子)
敗戦と原発、その失敗の本質(加藤陽子)
リスクを選んで生きる(中西準子)
女性リーダー育成が次世代の鍵(林文子)
戦争のない未来を守るために(澤地久枝)
水俣にも福島にも花は咲く(石牟礼道子)
著者等紹介
上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学者。専攻は、女性学、ジェンダー研究。立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授、NPO法人WAN理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
69
髙村薫に始まり、「水俣にも福島にも花は咲く」の石牟礼道子で終わる対談。3・11後、「日本はどうなる?どう変わる?」というテーマで『婦人公論』に連載されたもの。戦後日本は、自らの手で責任を明らかにしないまま、それを処理することもしなかった。都合の悪いことは、見ない・聞かない・過去の失敗に学ばない体質は、いまも連綿と受け継がれている。石牟礼の「本当の希望は絶望の中からしか生まれません。ただ終わり方がこのままだと、壊れっぱなしでガラクタ列島になってしまう」と言わせているのがいまの日本。希望よりも、絶望をみる。2015/05/03
ネギっ子gen
52
【3・11後、多くの人が「ニッポン、変わらなきゃ」と思った。日本を変えるのに、男にまかせておけないような気がした。誰かが変えるとしたら、それは女だ】上野先生が瀬戸内寂聴や石牟礼道子ら12人の女性と徹底討論した対談集。『婦人公論』連載に加筆して単行本化。先生は「あとがき」で、<わたしはわたしの答えを求めて、12人の尊敬できる女性とわたりあった。「ニッポンが変わる」可能性にも、「女が変える」可能性にもどんどん希望はなくなりそうだが、希望はといえば、こういう女性たちが日本にいる、ということだろうか>と――。⇒2024/06/27
Aya Murakami
36
図書館本。 今回も上野千鶴子本人よりもゲストのほうがいい味していました。上野千鶴子さんは自分の主張表現するよりも相手(ゲスト)の主張を引き出す能力にたけているのでしょうか?それはそれで素晴らしい才能です。 高村薫との対談では宗教的態度巡って宗教大事にしたい高村薫と宗教から離れたい上野千鶴子がかたくなな雰囲気で対決しますが、むしろコミカルな印象を受けました。神を信じるか否か…。たぶん明確な答えなんてないのかも…? 2018/06/17
壱萬参仟縁
18
上野名誉教授は、「高齢化が進んだ今は、縮小撤退を前向きに考えなければいけない時なのに、旧来型の手法でムダなばらまきをやっている」(18頁)との指摘は道路工事のために高いガソリン税を払わされているのとつながる問題。大いに共感。消費税批判についても妥当(91頁)。驚きなのは、国民年金保険料に2年の前納で割り引くからさっさと払ってくれという封書が送られてきたこと。浜矩子教授との対談は取り合わせが面白い。共に舌鋒鋭いので。東電に対する歯に衣着せぬ物言いは読みどころの一つ(122頁)。この二人につけば学位はきそう。2014/01/11
春咲ハナ
8
タイトルは『ニッポンが変わる、女が変える』だけど、中身は「どんだけ日本という国が変わらないか、過ちを繰り返す国であるか」、です。 読んでいると本当に涙が出てきて止まらなくなってしまった。正直、こんなに救いのない本は読んだことがないと感じた。 この国に未来はあるのか──「否」。 この国に希望はあるか──「否」。 国の枠を超えて生きるか、もしくは絶望と希望を超えた先に何かを見るのか・・・ でも「あきらめてはいけない」、 だってまあ、生きているんだしね。 2013/11/23