出版社内容情報
赤狩りで映画界を追放されるも偽名で映画を作り続け「スパルタカス」「ジョニーは戦場へ行った」などの名作を生んだ波乱の生涯。
内容説明
赤狩りで追放されるも偽名でB級映画を作り続け「スパルタカス」「ジョニーは戦場へ行った」などの名作で甦った男の波瀾の生涯と作品誕生秘話。
目次
1章 コロラドからハリウッドへ(一九〇五‐一九三八)
2章 パートタイム映画脚本家(一九三八‐一九四〇)
3章 栄光への道(一九四〇‐一九四二)
4章 「善い」戦争(一九四三‐一九四六)
5章 地下へ(一九四七‐一九五六)
6章 使命を持った男(一九五六‐一九五九)
7章 反逆的な英雄(一九六〇)
8章 本業への復帰(一九六〇‐一九六一)
9章 仕事に励む職人(一九六二‐一九六九)
10章 過去から抜け出して(一九七〇‐一九七一)
11章 たそがれ(一九七一‐一九七六)
著者等紹介
ハンソン,ピーター[ハンソン,ピーター] [Hanson,Peter]
1969年米国ミシガン州生まれ。ノンフィクションライター、映像作家、ドキュメンタリー映画監督
松枝愛[マツエダメグミ]
1979年東京生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒。翻訳家。主にラテンアメリカや米国の文化社会状況を取材し、翻訳活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
5
映画脚本家ダルトン・トランボが制作に関わった映画を年代順に記した評伝。あとがきで本人についての書籍や映画はこれまで複数上梓、製作されているとある上、原書のタイトルは「ダルトン・トランボ、ハリウッド・レベル」とあるように本国アメリカや映画ファンには知られた人物なのだろう。記述の方法は、映画制作時の様子を記してから内容の一部を説明して、ある場面の脚本部分を引用している。次いで著者のコメントが述べられる。人間トランボに迫った評伝ではなく、映画作品そのものに沿って書かれているため人物像については、はっきりしない。2014/08/06
ぼのまり
5
読む前にトランボの手掛けた作品をいくつか観ておいた方が良かったかもしれない。訳者のあとがきにも記述があるが、トランボは「反逆」、「誇り」、「名誉」といったテーマを扱った作品が多く、その思想が作品に表れているといいます。「ローマの休日」も彼の思想や当時の時代背景と組み合わせると、また違った見え方がするのかもしれない。2013/09/08
しんこい
3
風呂場で原稿を執筆し赤狩りと戦った男はどんな人だったのかと思って読みました。内容は自伝でもないし、議会でどんな証言をしてどう戦ったのか顛末が書かれているのでもなく、名誉というが生涯のテーマがどんな風に個々の作品に表現され展開されたかという作品論に近く、ちょっと期待とは違いました。ナンセンスな駄作、とか結構手厳しいです。この題名をつけた出版社の作戦勝ちか。2013/08/13
左手爆弾
2
トランボを巡る歴史や逸話というよりは、彼の関わった様々な映画についての批判的批評。元の作品を見ていないとわからない話も多く、そのあたりの箇所は読み飛ばさざるをえなかった。トランボは一方では進歩的な共産主義的、自由民主主義的思想を持っており(当時のアメリカでは両者は矛盾しない)、一方では女性の社会的役割には案外保守的な見解を持っていたりもする。そして、唯一監督をつとめた「ジョニーは戦場に行った」がなぜ妙につまらないのかなどを読み解く。2017/02/26
むっち
2
ハリウッドにマッカーシー旋風が吹き荒れた時期、仕事を干された10人(ハリウッドTen)の一人、ダルトントランポ氏の脚本の仕事をひもとく、マッカーシー旋風の時代の空気を記したリリアンヘルマン氏の「眠れない時代」のような時代を描写した本かと思いきや、ダルトン氏の仕事が一貫して名誉を重んじていることマッカーシーの時代をへて、それが反社会的と思われるものたちであっても名誉を重んじる意識が強く意識されているというあたりのところまで読んで、時代が与えた作品への影響を論じた本だということに気づいた。ローマの休日という題2016/11/10