内容説明
それは細菌感染に無力だった人類が初めて手にした“効く”薬。顕微鏡下の地道な探究が、戦場の様相を、医師の役割を、医薬品開発の仕組みを根底から変えた―「最も偉大な医学の勝利」をめぐる知られざる歴史のドラマ。
目次
第1部 探求(戦場の現実;ご老体と第一次大戦;虚無と使命と;就職と結婚;世界最大の化学工場;産業界とアカデミア;バイエル大帝国のチームワーク;最も恐るべき、ありふれた細菌;産科病棟の疫病;細菌を殺す真紅の色素)
第2部 医学を変える奇跡(パナケイア目覚める;抑えられぬ興奮;赤い車の白いエンジン;フランスチームのダンス;ホワイトハウスの実験;サルファ・ゴールドラッシュ)
第3部 光と影(危険なレシピ;新しいFDA;サルファ剤ゲーム;検閲と連行;第二次大戦;それぞれの終戦;ストックホルムへ)
著者等紹介
ヘイガー,トーマス[ヘイガー,トーマス] [Hager,Thomas]
1953年ポートランド生まれ。医微生物学と免疫学、ジャーナリズムで修士号を取得。国立がん研究所、出版社勤務等を経て、サイエンス、メディカルライターとして「リーダーズダイジェスト」から「メディカル・トリビューン」まで、幅広いメディアに執筆している。オレゴン州ユージン在住
小林力[コバヤシツトム]
医薬史研究家。1956年長野県生まれ。東京大学薬学部卒、同大学院修了。薬学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨクト
28
これぞエンタメノンフィクションと言えるほど、物語として、教養として、愉しめる本でした。主役はサルファ剤。第二次世界大戦を始め、戦争での感染症による死者を激減させた奇跡の薬である。まずは、感染症の原因の発見。顕微鏡の発達により、目に見えない寄生虫や細菌の世界を認識し、それが傷口から感染し死に至る。そして生物実験と試行錯誤から至るサルファの発見。薬の効力の世間への浸透、改良闘争。サルファ剤は抗生物質時代の起爆剤であり、多くの命を救った。そしてペニシリン等の次のステップへと至るのだ。そしていつかは万能薬を。2015/05/06
はなよ
14
前半はサルファ剤開発までの経緯が一人の科学者からの視点で語られ、後半はサルファ剤の流通、それによって救われる人々、戦争に翻弄される科学者たち、薬の実験場と化した戦場など、幅広く語られている。この時代に限れば下手な歴史書よりも内容が濃いかもしれない。ただその分20世紀後半になってからの描写は殆どなく、抗生物質の過剰投与による耐性菌の発生などの新たな問題はサラっと触れられる程度なので、抗生物質全般を知りたいのなら少し物足りないかもしれない。2021/11/30
目黒乱
12
サルファ剤という抗菌薬の登場によって、医学の世界がまったくかわってしまったことを描いた本です。こんにち、細菌に感染しても命を失わなくなったのは、サルファ剤のおかげ。抗生物質の登場をうながしました。僕も子供のころ、ペニシリンがなかったら死んでたと言われたことがありますが、ドーマクさんが必死で研究してくれたおかげで、やがてペニシリンも実用化され、ここにこうして生きています。ドーマクさんありがとう。2016/03/15
mft
7
ペニシリン登場の少し前に一世を風靡した抗菌薬サルファ剤。細菌学が発展しても細菌感染症には無力だった第一次世界大戦当時から、戦間期に登場したサルファ剤によって医学も製薬業界も戦傷者の運命も劇的に変わっていく。読み物として面白い2020/03/02
稽子
6
この本には科学と歴史と娯楽が詰まってます。とても面白いです。実は「Dr. STONE」という漫画を読んでサルファ剤の存在を知り、そこから興味を持って読み始めたのですが、これがなんとも非常におもしろい。他の方にもオススメしたくなる本です。2020/01/28




