目次
自然と親しんだ小学生時代
スポーツに明け暮れた青春時代
高校教師から研究者に転身
北里研究所に入所して鍛えられる
アメリカの大学での研究生活
企業から研究費を導入して研究室を運営
エバーメクチンの発見
大村研究室の独立採算制
研究経営に取り組む
活発な研究活動と外国での評価
北里研究所メディカルセンター病院の建設
北里研究所とコッホ研究所
科学と芸術の共通性から女子美術大学の理事長へ
人材育成で社会貢献する大村研究室の活動
著者等紹介
馬場錬成[ババレンセイ]
1940年東京都生まれ。東京理科大学理学部卒業後、読売新聞社入社。編集局社会部、科学部、解説部を経て1994年から論説委員。2000年11月に退職後、東京理科大学知財専門職大学院(MIP)教授、早稲田大学客員教授、特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長、文部科学省・科学技術政策研究所客員研究官、産学官連携戦略展開事業推進委員会委員、学佼給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議委員などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
57
2015ノーベル生理学・医学賞受賞の大村智教授。本書を読めば素直に尊敬できるというか、自分のみすぼらしさに後ろめたくなってしまう。この方はどんな職についたとしても大成されただろう。苦学から夜学の教師を経て研究者へ。北里研究所へ補欠として入所するも努力により認められアメリカへ留学、生物が生み出す化学物質の研究が世界的に認められる。本書はノーベル賞受賞以前を記したものだが、偉業とは積み重ねる日々の努力。そして文子夫人の内助も大きい。スペシャリストというよりジェネラリスト。大人(ターレン)と呼ぶに相応しい人物。2016/01/03
Willie the Wildcat
55
父子2世代に渡る反骨心と泥臭さが根底となり、目先の利益に振り回されない愚直さが道を切り拓く!朝6時からの下働きや、留学先選定の件が象徴。加えて、US留学で得た人脈と研究の有り方。特に後者が日本の民学連携に齎した功績は大。地元のセミナーを聴講するお母様の写真に家族愛が満ち溢れる・・・。画用紙を絶やさないその母の想いが、氏の芸術性のみならず手先の器用さにも繋がったのではなかろうか。但し、初恋の人に「阿修羅像写真」をプレゼント・・・は、流石にマニアックすぎるなぁ。(笑)2016/01/27
みっくす
52
大村さんの成果は、イベルメクチンの発見によって2億人のアフリカ人をオンコセルカ症から救っただけに留まらなかった。脂肪酸合成酵素阻害剤、プロテアソーム阻害剤、抗ガン剤など多岐にわたる生理活性物質を微生物より単離し、その機能・構造を解析されており、現代科学に多大なる貢献をされている。大村さんの熱意・向上心に満ち溢れたその人柄を知るにつけて、ノーベル賞を受賞されたのは必然だったのだなと感じた。アフリカの子供たちに囲まれた写真がとても印象的。手元に置いて何度でも読みたい。2015/12/26
リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
44
大村智物語と殆どの内容が被っていましたが、大村さんの得意稀なる集中力と、梃子でも動かない強い意思が偉大な道を切り開いていったんだなと思います。2016/07/18
読書ニスタ
39
表題の通り、2億人を病魔から救った、ノーベル生理学ー化学者の話。ペニシリンのような抗生物質を数多の細菌を調べて新たに見つけ出すという、極めて地味で、砂浜でダイヤを探す確率の中、コツコツ続けた成果。夜間学校の教師の立身出世と読むより、聖人に列せられるかのような偉業ではないか。研究所の立て直す経営者にならざるを得なかったり、同業の研究者に騙されたり、本業でない戦いを強いられながら、負けじと立ち向かう姿は凄腕の弁護士の様でもある。金の使い方もサバサバしていて、病院やら絵につぎ込んで還元する、まさに日本の誉。2019/10/21