内容説明
文学から思想、政治から時代状況まで、戦後を代表する二大批評家による白熱の全対談。
目次
文学と思想(外側から見た日本;史料の選択 ほか)
文学と思想の原点(漱石と登世をめぐって;退路のない状態 ほか)
勝海舟をめぐって(“総理大臣”勝海舟;つかみどころのない存在 ほか)
現代文学の倫理(知識人の役割とは何か;六〇年代という時代と文学 ほか)
文学と非文学の倫理(転換する八〇年代文学;“歴史”は存在するか ほか)
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
詩人、評論家。1924年東京生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。情況への鋭い発言を続けるとともに、文学、国家、人間存在に関する原理的考察を発表。主な著書に『夏目漱石を読む』(小林秀雄賞)『吉本隆明全詩集』(藤村記念歴程賞)などがある
江藤淳[エトウジュン]
文芸評論家。1932年東京生まれ。99年死去。慶應義塾大学文学部英文科卒業。東京工業大学、慶應義塾大学、大正大学教授を歴任。69年末から約九年にわたり毎日新聞の文芸時評を担当。主な著書に『漱石とその時代』(菊池寛賞、野間文芸賞)『小林秀雄』(新潮社文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shinano
36
日本人が対談したものを本にしたのだから当然私にも読めるのだが、二人の喋っている内容が知識と教養で成立しているので、二人の説や議論を理解出来ない私は同意や否定を自信をもって表せない。自分の知識と教養をレベルアップしなければならないことを自覚した。俗な言いをするなら、面白い内容で勉強になった。読書する必要性を再認識した。自分の頭のノートに記されていない文人たちの名と著作への批評が不思議かな興味深く読めてしまった。二人の時代観的文学史談は一興である。吉本氏の視野の広さ、論理と感情の混淆の上手さも感じた。2012/04/05
Mark
11
昭和を代表する文学評論家かつ、思想家の対談集。 立ち位置も極端に異なる二人の対話を読んでいると、議論の深まりと言うのはこういう事なのだろうと思わされる。2020/11/07
yuya
1
2回目2019/07/12
だーよし
1
1988年9月8日の対談(文学と非文学の倫理)が良かったです。「ほんとに吉本さん、ありがとうございました。六年ぶりでお目にかかって楽しかったな。不思議なご縁だな、ほんとに。どうしてこういう具合になったのかな・・・」で始まる江藤淳の最後の語りはグッときました。難しい話は抜きにして、二人の関係性に感銘を受けました。2012/03/30
新井徹
1
65年から88年にかけての5つの対談を収録。対談で両者が述べている内容は今読んでも全く古びていない。逆に文学が世界を俯瞰するメタな存在感をまだ多少は持っていたことに驚く。対談では両者の特質、対立軸が鮮明で面白い。吉本の主観楽観、江藤の客観悲観。吉本の骨太さと江藤の繊細さ。戦後評価、サブカル評価も真っ二つに分かれる。面白いのは、アプローチは正反対なのに結論が一緒になるところ。徒党を組まず常に孤高を保つ姿勢も共通する。江藤の文学への期待値の高さが彼に死を選択させたのかもしれないと、この対談を読んで思った。2012/01/05




