内容説明
時間はどこにも流れていない。でも、どうして流れているような気がするのだろう。アリストテレス、アウグスティヌス、ベルグソン、フッサールといった巨人の議論を緻密に批判しつつ、本来の時間の姿を探ろうとする、哲学のたくましい挑戦。
目次
第1部 出来事と時間(出来事の不確定性と共有性;隠喩で語られる時間;天を観る;言葉と時間意識)
第2部 時間論のドクサ(アリストテレスの時間論;アウグスティヌスの時間論;ベルグソン『試論』第二章のアポリア;フッサールの言う内的時間意識の本当の前提;ジェイムズの「時間の知覚」;マクタガートの「パラドクス」;相対論の時間論)
第3部 本来の時間の姿(ヌアの人々の素朴な時間の概念;ヨーロッパ社会の生活の中の時間;近代産業社会における時間;時間の中で生きるということ)
最終章 時間の非実在性と実在の時間性
著者等紹介
渡辺由文[ワタナベヨシフミ]
1954年(昭和29年)、埼玉県生まれ。2010年、博士(文学)(東京大学)を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
2
14-14 赤11★5 時の流れの正体を…そして、学問とはこうあるべき(^0^)人にとって時間の意味とは…できるだけドクサは平易に。アップした天才的哲学者はメジロオシ。アリストテレス・アウグスティヌス・ベルグソン・フッサール・ジェイムズ・マクタガードでもでも渡辺先生は次々めった刺し…大丈夫? ご安心を特別にドクメ諸氏には教養を要求しません。(*^.^*) 基督教…宗教色から意識して? 距離をおく…人は出来事を出来事として認識できる能力をゲットし、そして時間の概念を生み出した。(+_+)2010/11/07
田蛙澄
1
それほど期待せず買ったのだがとてもためになったし、素晴らしかった。運動や振る舞いを出来事として言語能力によって概念化し、それらの出来事を疑似空間的に直線に並べたのが時間であり、意識の流れとしての時間の方が派生物であり、太陽運行を元にした暦や時計の時間こそが本来的な時間であるという割とシンプルな議論一本でアリストテレス、アウグスティヌス、カント、フッサール、ベルグソン、マクダガートらを上手く批判し、相対性理論についてもうまく取り込んでおり、ほとんど論旨の乱れもなく鮮やかな論だった。色々元気づけられる本だった2017/11/27