出版社内容情報
日中戦争の戦地に派遣された、エンタツ・アチャコら当時の人気芸人の足跡を辿り、過去の戦争の知られざる一面を浮き彫りにする。
内容説明
埋もれていた資料や元兵士の証言を元に「わらわし隊」の実態を浮き彫りにしつつ、慰問団が見た「南京」や「慰安婦」等、あの戦争をめぐる一連の問題にも一石を投じた力作ルポルタージュ。
目次
第1章 わらわし隊、中国へ
第2章 エンタツ・アチャコと柳家金語楼
第3章 柳家金語楼一行の足跡
第4章 わらわし隊の見た上海・南京
第5章 戦場にある笑顔と涙
第6章 深まる戦火
第7章 漫才「わらわし隊」
第8章 笑って死んでくれ
最終章 ミスワカナの死
著者等紹介
早坂隆[ハヤサカタカシ]
1973年、愛知県出身。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のらねこ
2
支那戦線に慰問団として派遣された芸人たちの記録2008/07/25
火
1
戦争に関して、中国側の見解も日本側の見解もやや批判的に捉えているわりに、芸人個人の意見を大きな根拠として論じているのがやや違和感ありだが、戦時中活躍した慰問団の動向を詳細に記した興味深い一冊。芸人の戦争に対する複雑な思いを垣間見ることが出来た。2019/06/06
seychi
1
戦争という命のやり取りを強いられる究極の緊張の中だからこそ人間らしい姿に戻りたくなるという気持ちはよくわかる。だからこそ笑いが欲しくなりそして笑う事によって一瞬だけでもこの緊張から解き放たれたいという気持ちになるのだと。慰問団の方もほんの少しだけでも憂いを忘れさす事が出来ればという気持ちだったでしょう。この本では戦後A級戦犯に指名された松井石根や今またくすぶり始めてる慰安婦問題や南京事件も裏テーマとして底流にある。そしてこの慰問団が軍主導ではなく吉本からという事が戦後から今までの吉本の強かさが感じられた。2013/10/16
れい
1
戦時中に出征中の兵士を笑わせる慰問を行っていた芸人たちの活動をまとめたもの。これも戦争の一面には違いない。ただ、ドキュメンタリーに徹しきれていないというか、著者の熱い主張が文章の間から溢れてるというか…。2013/02/24
鼻毛カッター
1
徐々に違和感が増していき、わらわし隊を語るのには不要と思われる南京虐殺見直し論を長々と読まされるに至りそれが決定的なものとなった。この本もちょいと前に読んだ『平和は退屈ですか』同様の、ある題材をダシにして自分の主張を書きたいだけの本だった。その出汁を使った料理が旨ければいいが、あんまり旨い料理とは思えんなあ。わらわし隊に隣接して出てくる著者が主張したい(と思われる)事柄は喜々として記述するのが見えてくるようなのに、肝心のわらわし隊の記述は素っ気ない印象で熱気がまったく感じられなかった。2010/10/20