出版社内容情報
男は男らしく、女は女らしく―。シェイクスピアの描く、強固な社会通念に苦悩する男と女の姿は、現代に生きる私たちにも強い感銘を与える。
内容説明
シェイクスピアの生きたエリザベス朝時代は、それまでの伝統的な男女観が崩れ、男らしさ、女らしさが問い直された時代だった。男物に似せた服装が女性のファッションとして流行する一方で、化粧が一般大衆に広まったのもこの時期である。シェイクスピアも、男装の女性や、ハムレットやロミオのように「男であることの困難」に苦悩する男性を多く描いている。そこには、現代の私たちにも感銘を与える生き方が込められているのだ。作品を丹念に読み直すことによって見えてきた、シェイクスピアの新しい魅力に迫る。
目次
序 装われる性
第1章 “じゃじゃ馬”は自由な女か?
第2章 愛と名誉と女の操―シェイクスピアと結婚
第3章 マクベス夫人は悪女か?
第4章 「男」を演じる女たち
第5章 男らしさの衰退
第6章 恋せよ乙女
著者等紹介
河合祥一郎[カワイショウイチロウ]
1960年生まれ。東京大学英文科卒業。ケンブリッジ大学英文科博士課程および東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、両大学より博士号(Ph.D.)取得。東京大学大学院総合文化研究科助教授、放送大学客員助教授。専攻、イギリス演劇、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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viola
2
タイトルの通り、シェイクスピア劇の男女について。とても読みやすいです。 全体的に斬新な箇所が多いので、読んでいて面白い^^2010/03/03
yumime
1
恋も戦も、女らしさも男らしさも過ぎればただの馬鹿。でも、馬鹿になら(れ)なければ喜劇も悲劇もはじまらない。ところで、面白い演劇論の良くて悪い処は、切符代に数千円かけた舞台のうえで演じられるものよりも面白い時が間々ある…ということではないでしょうか。2016/05/09
タイ口ホ
1
面白く一気に読んでしまえた。『じゃじゃ馬ならし』の解説だけでも読む価値十分。ただ「否定の否定」をやるためか、ちょっと強引に感じる部分もあり。2010/08/27
沢村駿介
0
80。論文用。最初の章の両性具有の話、性と「らしさ」の捉え方非常に参考になった。個人的には「『じゃじゃ馬馴らし』をどう見るか」が面白かった。自分はこの筆者の考え方が好き。女性分析だとジェンダー批判が多いので…2013/02/26