出版社内容情報
人はなぜ人を殺すのか―河内音頭に唄われる実在の大量殺人事件<河内十人斬り>に材をとった長編小説
内容説明
人はなぜ人を殺すのか。河内音頭のスタンダードナンバー“河内十人斬り”をモチーフに、町田康が永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
82
裸の王様・熊太郎が外界に出て、自意識過剰の空回りを繰り返す。熊太郎もなんも考えてない訳じゃない、ギリギリでいつも生きていたいから。むしろアレコレ脳みそフル回転で生きてるのに伝えられない、伝わらない。さぁ思いきりぶち破ろう。リアルを手に入れるんだ。ドッコイサヨイヤサ。熊太郎に自信があればこうはならないだろうに、始まりは自信家熊太郎の鼻を折られたからなんだよな。あぁ、私にもこんな痛々しい所ある。これは生きにくかっただろうな。あかんかった。あかんかったな。2023/03/17
haruaki
41
自分の中にある入り乱れた善悪を正直に言葉にする事は難しい。自分の心を他人に語るとひどく傷付くリスクがある。大体の人は心の上っ面をすくい取って言葉を発し、自分を守って生きているのだと思う。熊太郎の入り乱れる気持ちに可笑しみを感じながらも正直が故に傷付いていく姿が痛々しく、無茶苦茶な感情の連発なのに共感してしまう。本当の懺悔など人は出来るのだろうか。人の本当の心など聞いたところで他人がその心を真に理解する事などあるだろうか。自分の心すら掴めないのに。哀しいくらい不器用で強烈な魂の思考に胸を打たれた。面白かった2018/01/15
あすか
38
河内十人斬りを舞台にしたお話。主人公の城戸熊太郎は小さい頃から遊び呆けて、大人になってもフラフラした生活を送っていた。彼は頭の中では様々な事が浮かび思い馳せているが、それがなかなか言葉にできないだけなのだ。とても不器用な熊太郎は人情にはあつい。そんな一面をもった彼は友に騙されたり、裏切られたりしながら最後には十人もの身近な人達を殺すことに… 熊太郎の情けなさに途中読むのも苦しくなっていましたが、最後には熊太郎の不甲斐なさに悲しくなりました。もっとじっくり読み込んだほうが良かったなと後悔。2018/07/06
風眠
37
町田さんものすごいの書いてくれちゃったなーって、感じです。後半は頭がかっかして、息苦しいような感じがして、読むの大変でした。実在した「河内十人斬り」の主犯である城戸熊太郎の生涯を描いたこの長編は、江戸~明治初期の物語であるはずなのに、カタカナ英語が使われていたり、ロック・ブルース・パンクなどの現代音楽の雰囲気がちりばめられていたり、不思議なポップさがある。時代に溶け込めずに、言語表現と思考を一致させられずに自分を持て余していく熊太郎。彼の思考と行動が破綻していくさまは、現代にも通じるリアリティがあった。2012/05/15
さく
33
これはすごい。河内十人斬りの犯人、熊太郎が主人公。熊太郎の考えがあーだこーだあーだこーだとだらだら垂れ流しで書かれていて、しかも河内弁で読みにくく、ついつい読み飛ばしてしまったが、そこも含めて面白かった。熊太郎、抜けているというか、あほというか。弥太郎がかわいそう。他の人とは違って、自分は思考をそのまま言葉にできない、と熊太郎は常々感じていたけど、人って多かれ少なかれ誰もがそうなのではないかな。最期に思考と言葉が一致「あかんかった」ほんま、それ。2016/06/19
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