出版社内容情報
死んだ末妹の残像に苦しむ尹小跳。アメリカ人と結婚し故国を捨てる次妹の小帆。美貌を武器に這い上がろうとする唐津津。現代中国女流文学の最高峰が官能的に描く、魂と肉体の遍歴。
内容説明
末妹の死の残像に苛まれつつ、恋愛遍歴を重ねる尹小跳。生来の美貌を武器にのしあがろうとする唐菲。アメリカに渡って結婚。アイデンティティを見失う尹小帆。文革から開放へ。激動の時代を生きた女たちの肉体と魂の遍歴。
著者等紹介
鉄凝[テツギョウ]
1957年北京生まれ。1975年に高校を卒業し、農村に赴く。同年、処女作『飛べる鎌』を発表。以後、『おお、香雪』(1982、全国優秀短篇小説賞)、『ボタンのない赤いシャツ』(1983、全国優秀中篇小説賞)、『女の白夜』(1992、魯迅文学賞)などを発表。多くの作品が映画化・テレビドラマ化され、国内外の映画祭で数々の賞に輝いた。現在、中国作家協会副主席、河北省作家協会主席
飯塚容[イイズカユトリ]
1954年生まれ。専門は中国現代文学、演劇。東京都立大学大学院修了。現在、中央大学文学部教授
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感想・レビュー
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やまはるか
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三人称、一人称、地の文だけの章とある450ページの長編であるが、ストーリーを構成するために多くが費やされ描き出されるものが極めて少ない。最近アリス・マンローの「善き女の愛」で堕胎のリアルな描写を読んだばかりだが、ここで書かれた堕胎の場面は叔父である医師の内面の説明に終始して「どうにか全て終わった。」で終わっている。主人公の友人の母親が文革中に大衆の前で茶碗にすくった糞尿を飲まされ、後に自殺する話が出てくるが、傍観者である子供を通じて描かれており出来事が消化されていない。この小説が理解できない。2018/09/07