内容説明
街の息吹に身を晒す。“地霊”の宿る場所に立つ。都市を巡る旅は、胸の高鳴る冒険だ。都市は人間の試みの痕跡に満ちている。
目次
1 街から
2 風景のなかで
3 前衛のすがた
4 復原から見えるもの
5 建築家の世界
6 日本のデザイン
7 都市―建築の現在
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
D.Okada
2
ゲニウス・ロキ、機能と装飾、建築の公共性などのテーマのエッセイ集。街を歩いたり、建築を見たりするとき、その表情や雰囲気は土地によって異なる。そこには当然、時間・歴史が潜んでいて、文化がある。そうした「場所」としての都市には姿なく漂う精気の如き地霊すなわちゲニウス・ロキが存在する。経済的・空間的思考に還元されてしまうような都市を抽象的空間から救い出す可能性をゲニウス・ロキは秘めていると著者はいう。「旅行」ではなく、散歩感覚な「旅」をし、どこか知らない街を歩きたいと思った。2013/01/17
黒鳥
1
エッセイ集。機械の変質と都市のそれを重ね合わせる論考がとくに興味深い。かつては目的を持ち、合目的的な部品のみで構成され、普遍的に作動した機械は、その進歩が人間の感覚で検証できる範囲を上回ったことにより、目的が見えず全体性を持ちそれぞれが差異化された存在へと変わった。具体的な場所の集積である都市も、数値的な経済空間として測られ差異化されている。一方で都市に経済的観点が導入されるほど土地のブランド性が重視され、都市は最終的に場所性から逃れられないことを示してもいる。/著者の他の本を読んで更に理解したい2022/09/13
びす子ちゃん
1
都市はかなしい、時代がかなしい、でも都市は楽しい。都市と建築に関わる誰もが持つこの気持ちを根底に、膨大な知識と経験から多様な視点を与えてくれる。一般論に騙されそうになったら読み返そう。2017/04/15
stafy77
1
建築のことを知らなくても読める。読んだ瞬間に、普段歩く町の風景が、あぁ、これは何かを失った風景なのか…、とか、この屋根の形は…とか思い、いつもと違う風景に感じられてもっと違う文化が体現される町に散歩に行きたくなる。2014/09/08
もーもー
1
エッセイ集だから読みやすい。鈴木博之さんの都市論は好きです。