内容説明
戦後日本を席捲した大塚史学への挑戦、今西錦司・梅棹忠夫らとの出会い、ウォーラーステインに先駆けた世界資本主義論、茶、時計、米などの「モノ」を糸口にグローバル・ヒストリーを編み出した経済史家がその半生、方法、学問の醍醐味を軽妙に語る。
目次
1 戦後日本の歩みとともに(大塚史学への挑戦;経済史から生活史へ)
2 フィールドワークが開拓した生活史(イギリス・ヨーロッパをフィールドワークする;アジアをフィールドワークする;「領事報告」をフィールドワークする)
著者等紹介
角山栄[ツノヤマサカエ]
堺市博物館館長、和歌山大学名誉教授、奈良産業大学名誉教授。経済史専攻。1921(大正10)年大阪市生まれ。45年京都大学経済学部卒。50年より和歌山大学に勤務し、61年経済学部教授、67年学部長、75年学長を歴任。87年より奈良産業大学教授。93年から堺市博物館館長
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感想・レビュー
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かわかみ
6
浅学のため著者が経済史の碩学であることを知らなかった。戦後日本の経済史学はマルクス主義が主流で輸入学問の訓詁学だった。大塚史学もその弊を免れず"中世共同体の土地所有のあり方で各国の資本主義の類型が相違する"、"ジェントリーではなくヨーマンが産業資本を育てた"など史実と合わない理論を唱えたという。また、著者はマルクス主義者であるウォーラーステインの近代世界システム論に先行する世界資本主義論を提唱した。その後、今西錦司たちの影響からフィールドワークも踏まえた生活史を研究し「茶の世界史」等に結実したそうだ。2024/08/15